2012 Fiscal Year Annual Research Report
光および弾性波励起による磁化の超高速制御とその応用
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22226002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 像情報工学研究所, 教授 (60270922)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 磁性半導体 / スピン-軌道相互作用 / 超高速現象 / 新機能光素子 |
Research Abstract |
(1)Co/Pd多層膜構造の作製と評価 スピン-軌道相互作用な顕著なCo/Pd多層膜構造に着目し、試料作製から光励起実験までを一貫して進めた結果、弱励起領域(1μJ/cm2以下)で光誘起強磁性共鳴が起こることを世界に先駆けて見出した。磁性金属で非熱的過程が存在することを強く示唆する結果である。成果発表し第60回応物講演会(神奈工大13年3月27日)でポスター賞を受賞した。 (2)強磁性半導体(Ga,Mn)Asにおける非熱的過程の検証とテラヘルツ領域へのアクセス 強磁性共鳴が超高速消磁と直接関係ないことを示す実験データを世界に先駆けて得た。金属多層膜とは対照的である。具体的には、光励起から磁化才差運動開始までおよそ29 psの遅れが生じていることを新たに発見した。光励起された電子系はただちにスピン系に影響を及ぼさないこと、および、光で励起される電子系と磁化を担う電子系が同一でないことをも示唆している。 (3)光学顕微鏡の感度向上と空間情報一括取得に関する取り組み 非常に良く平行化された光束(コリメート光)を試料面に対して常に一定角度で入射することで極めて信頼性の高い観測系を構築することに成功した。このような観測系を用いて、(Ga,Mn)As面内磁化膜の磁気光学効果の起源が磁気線二色性でなく磁気複屈折であることを実証した。 (4)室温における磁化のコヒーレント制御とスピン光メモリーの試作 励起光強度18 microJ/cm2の中励起強度の第一光パルスによりGdFe試料中で強磁性共鳴を誘起し、第二光パルスにより才差運動の位相に応じた振幅の増大と抑制を行えること、すなわち光誘起磁化才差運動のコヒーレント制御を実証した。光ファイバーのコア部分に隣接して磁性体薄膜を堆積させた構造体を設定し、作製と評価を進めた結果、光ファイバーコア部にGdFe薄膜を堆積する基本的な作製工程を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光励起実験に関するサブテーマはおおむね順調に進展していると思われる。光メモリーの実験研究はファイバー研磨にやや時間を使いすぎてきたと思われる。固体物理学の基礎研究を重視した学術論文誌への投稿機会が減っているのが気がかりである。弾性波励起実験に関しては、静的歪の研究にやや時間をとられてしまい遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
光励起、特にCo/Pd多層膜の研究、は良いスタートが切れたのでこの部分を伸ばしつつ、弾性波励起の遅れを取り戻す必要がある。
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Research Products
(27 results)