2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメカニカル構造の創製とデバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
22226004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 直 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00422329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩司 日本電信電話株式会社, NTT物性科学基礎研究所, 研究部長 (60374071)
割澤 伸一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20262321)
DELAUNAY Jean-Jacques 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80376516)
米谷 玲皇 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (90466780)
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Keywords | ナノメカニクス / ナノ加工・ナノ計測 / 電子ビーム・イオンビーム / ナノ振動子 / 機械共振特性 / ナノ・マイクロデバイス / センシングデバイス |
Research Abstract |
ナノメカニカル構造の創製とデバイス応用の研究計画に沿って,3次元ナノメカニカル構造としてカーボンや半導体の各種ナノ振動子を設計し,ビーム応用微細加工技術を駆使してそれらを作製し,それらのナノ寸法に起因する機械的特性を測定・解明し,これを機能化することによって革新的な機能・性能を持ったセンシングデバイスへの応用を目指す研究を進めた.今年度の具体的研究実績の概要は以下のとおりである. (1)ビーム応用加工:電子ビームとイオンビームのレジスト内への侵入深さの差異を利用して,シリコン系レジスト(HSQ)に電子ビームでベース部,イオンビームで振動部を描画し,一括現像とアニール処理で歪印加ビーム振動子構造を形成する複合ビーム法を確立した.本手法によれば微細な2.5次元構造を簡易プロセスで高精度に作製できる. (2)ナノ振動子表面物性:各種プラズマ処理した振動子表面をX線分析により解析し,表面状態が振動子共振特性に及ぼす影響を調べた.表面自由エネルギー(親水性/疎水性)が共振特性に影響を及ぼす支配要因であることが明らかとなり,今後は得られた知見を表面改質による振動特性の改善策に適用していく. (3)極限ナノ振動子:グラフェンのナノ振動子への応用を狙いに新しいグラフェン作製法として,FIB-CVD法でSiO2基板に堆積させたDLC薄膜上にGaを蒸着し,真空中アニールを施すことによりDLCがグラファイト化することを確認した.引き続き作製プロセスの安定化とリファインを進める. (4)ナノ振動子共振特性の制御:静電吸引力を振動と同期した復元力として作用させる構造を考案し,FIB-CVD法で作製したDLC振動子の特性測定により,共振周波数制御として500%以上という極めて大きな制御範囲を達成した.また,構造作製のウエットプロセスで生じるスティッチング現象を利用した振動子への応力印加法を考案し,共振特性制御のための歪印加が可能であることを検証した.今後これらの手法をナノ振動子の振動性能向上に適用していく. (5)微小変位検出応用:化合物半導体を用いてナノメカニカル構造(振動子)とHEMT(増幅器)をオンチップで結合した微小変位(微小振動振幅)測定デバイスを試作し,室温で9pmという極めて高い感度の変位検出に成功した.今後は更なる感度向上を検討するとともにセンサーへの応用を検討していく. (6)以上に加えて,AFMを用いたナノ振動測定法の適用範囲拡大,ナノ振動子の光検知応用を目指したナノ振動子と光の相互作用,ピエゾ抵抗効果を利用した自己検知型振動子などの研究を進めた.
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Research Products
(36 results)