2012 Fiscal Year Annual Research Report
マルテンサイト変態の低温異常―その普遍性と起源の解明―
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22226011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝沼 亮介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20202004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 郁雄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20250714)
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30281992)
大森 俊洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60451530)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 形状記憶合金 / 相変態 / 状態図 / マルテンサイト変態 / 極低温 |
Research Abstract |
(1)基本変態特性評価(電気抵抗、磁気特性、変態潜熱など):24年度は、NiMn基系、FeMn系を中心に変態特性の評価を行った。NiMn基系では、NiCoMnSn,NiCoMnGa,NiCoMnInなど多くの合金系について情報を得ることができた。また、23年度に見出されたFeMnAlNi系についてもマルテンサイト変態の全容を明らかに出来た。 (2)機械特性評価(超弾性特性、兄弟晶界面や晶癖面の移動度など):CuAlMn、TiNi、FeMnAlNi系について低温での超弾性特性を評価した。その結果、TiNi系のみ低温で応力誘起変態の応力ヒステリシスが低温で異常に拡大することがわかった。 (3)相変態の組織学的評価:23年度に導入したTEM用低温応力印加ホルダーを利用してマルテンサイト変態を生じるペロブスカイト系セラミックスについて組織観察を行い、ホルダーの性能評価を行った。 (4)熱力学的解析と組織シミュレーション:磁場や応力下でのクラジウス―クラペイロンの関係や比熱測定からNiCoMnIn系における変態エントロピー変化や変態自由エネルギー変化の温度依存性を定量的に求めることに成功した。そのデータに基づき、熱変態停止現象の起源を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NiMn基系、TiNi系、Cu基系、FeMn基系について低温での超弾性特性を評価することができた。その結果、前者2合金系では低温でヒステリシスが広がるが、後者2合金系では殆ど変化が無いことが判明した。また、NiMn基系で出現した熱変態停止現象は、他の合金系では顕著に見られなかった。以上から、低温域におけるヒステリシス増加現象や熱変態停止現象といった異常は、マルテンサイト変態に普遍的なものではなく、合金系に依存することを明確に示している。すなわち、タイトルの副題“その普遍性と起源の解明”の内、“普遍性”については認められない、との明快な結論が得られたことになる。 また、異常現象の“起源の解明”についても、NiMn基系の精密な比熱測定の結果から、母相の強磁性に起因するとみられる格子エントロピーの異常と磁気エントロピーの寄与が熱変態停止現象の原因であることをつきとめた。なお、低温域におけるヒステリシス増加現象に関しては、今後に残された課題である。 以上の様に、研究目的として挙げた3点、1)この様な低温異常現象は、他の合金系でも生じる普遍的なものなのか、2)これらの異常現象の起源は何か、3)これらを機能材料の特性向上に生かす方法は無いか、の内、1)および2)が大方解明されつつあり、予定通りの成果を挙げていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)基本変態特性評価(電気抵抗、磁気特性、変態潜熱など):計画する全合金系に関して、平成24年度と同様の研究を遂行する。 (2)機械特性評価(超弾性特性、兄弟晶界面や晶癖面の移動度など):計画する全合金系に関して、引き続き平成24年度と同様の研究を遂行する。本年度は、Cu-Al-Mn系でありながら既に測定した6M構造とは異なる2H構造のマルテンサイト変態に関して低温実験を行うと共に、一定応力下で温度変化させる等、今までと異なる手法を用いた実験も実施する。 (3)相変態の組織学的評価:24年度に引き続き、TEM低温応力印加ホルダーを利用して以下の研究を推進する。①NiTiやNiTiFe:合金に出現するプレマルテンサイト相の観察と応力下のその場観察。②NiCoMnIn合金の極低温域におけるプレマルテンサイト組織や応力誘起変態組織のその場観察。 (4)熱力学的解析と組織シミュレーション:24年度に引き続き、磁場や応力下でのクラジウス―クラペイロンの関係を利用して、(1)や(2)で得られた実験結果から各合金系における変態エントロピー変化の温度依存性を推測する。また、実験で得られた比熱実験データに基づき、自由エネルギーの温度依存性を定量的に評価し、磁場やプレマルテンサイトの形成が及ぼす熱力学的寄与を明確にし、熱変態停止現象についてのさらなる理解を深める。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Phase diagram of the ferromagnetic shape memory alloys Ni2MnGa1-xCox2012
Author(s)
T. Kanomata, S. Nunoki, K. Endo, M. Kataoka, H. Nishihara, VV. Khovaylo, RY. Umetsu,T. Shishido, M. Nagasako, R.Kainuma, KRA. Ziebeck
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 85
Pages: 13
DOI
Peer Reviewed
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