2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体多層配線のプロセス限界を超越する拡散バリア層の開発原理
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22226012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 淳一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10261588)
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Keywords | 銅合金 / 薄膜 / 配線 / 半導体 / 界面 / 電解促進拡散 / 対数成長則 |
Research Abstract |
22年度の研究で基板吸着水がバリア層の形成に影響を与えている可能性を指摘した。23年度に実施した研究は、この点を明らかにするためにTEOS前駆体を用いて形成したSiO_2基板を真空中にて熱処理を行い、熱処理温度の変化による吸着水の種類と量をTDSを用いて定量的に測定した。その後にCu-Mn合金を成膜して自己形成バリア層の厚さを測定した。その結果、吸着水の量に比例してバリア層の厚さが増加することが明らかになった。さらに、物理吸着水か化学吸着水かによって形成されるバリア層の組成と構造が変化することが明らかになった。一方で半導体の急速な微細化傾向を考慮すると、物理蒸着法で成膜されたCu-Mn合金を用いたバリア層自己形成が困難になることが予想される。このため、既に得られた知見を活用して、化学気相成長法によるバリア層の形成を試みた。蒸気圧と融点などの情報を基に、(EtCp)2Mnを前駆体に用いて成膜した。その結果、前駆体の熱分解温度(500℃)以下であるにも拘らず、基板との反応によって厚さが1~8nmのMn酸化物層を形成することに成功した。また、成長挙動はCu-Mn合金の場合と同じく対数成長則に従うことが判明し、基板と前駆体間の電子のやり取りによって前駆体からのMnの脱離が促進されていることが明らかになった。さらに、Mn酸化物層の厚さ、組成、構造が基板の吸着水に影響されることも判明し、この点においてもCu-Mn合金の場合と同様であった。種々の厚さのMn酸化物層の拡散バリア性を調査するために、Mn酸化物層上にCuを成膜した試料を高温長時間保持した後に、組成分析およびC-V測定を行った。その結果、Mn酸化物の厚さが1.2nm以上の時に良好な拡散バリア性を示した。このように電解促進効果の原理を利用した化学気相成長法を用いることによって、従来の物理蒸着法によるバリア層形成プロセスの限界を超越できる目処がついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バリア層自己形成の主要機構であると考えていた電界促進拡散の観点から実験結果の解析を行い、電界強度とバリア層の成長挙動を明らかにすることによって、提唱する自己形成機構の妥当性を示した。さらに、現状の成膜法の限界を超越する方法として化学気相成長法によるバリア層の形成に着目し、超微細配線にも対応可能であることを示すとともに、これまでに得た知見と同様の形成機構による理解が可能であることを示した。これらの成果は、応用技術面から重要なだけでなく、学術面においても、低温における気相・固相反応および固相・固相反応の新たな可能性を示したという点で重要かつ独創性に優れている。
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Strategy for Future Research Activity |
電界促進効果をさらに深く理解するために、XPSを用いた電子エネルギーバンドの調査を試みているが、界面のみから情報を得ることが極めて困難である。試料作製と測定法を工夫することによって分析を継続する。 また、化学気相成長法によるバリア層の形成は、学会および産業界で高い評価を得ており、現状のプロセス限界を超越するための基幹技術になる可能性があるため、今後の研究では、メカニズムの更なる解明を始めとして、プロセス因子の影響を詳細に研究する予定である。
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Research Products
(19 results)