2012 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム解析とエピ遺伝学による反復配列動態制御機構の解明
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22227001
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
角谷 徹仁 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (20332174)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / クロマチン / トランスポゾン |
Research Abstract |
(1)DNA低メチル化状態でコピー数の増加するシロイヌナズナのレトロトランスポゾンを複数同定している(Tsukahara et al 2009 Nature)。このうちの一つVANDAL21は、既知の因子Mutaterと似た転移酵素を持つが末端逆位配列を持たない。この因子がDNAメチル化のともなう抑制を解除する働きを持つタンパク質をコードすることを明らかにした(論文投稿中)。また別の一つと配列の類似したトランスポゾンTal1を形質転換したところ新たな転移がおこり、セントロメアの反復配列に特異的に挿入することがわかった(Tsukahara et al 2012 Genes Dev)。配列の違うセントロメアでも同じ挙動を示すことから、セントロメアのエピジェネティックな情報を認識していると推察される。 (2)抑制クロマチンの目印であるヒストンH3リジン9のメチル化を除去する働きのある因子IBM1(increase in BONSAI methylation)の突然変異体の効果をゲノムワイドで調べている(Saze et al 2008 Science, Miura et al 2009 EMBO J, Inagaki et al 2010 EMBO J)。ibm1変異体における発生異常表現型を抑圧する変異の中でDNAメチル化に影響しないものを見いだした。本年度はこのヒストン修飾についてもゲノムワイドに調べ、H3K9のメチル化が影響されないことがわかった。他のヒストン修飾についても現在調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究は順調に進展している。これに加え、DNAメチル化の伴うトランスポゾン抑制に対抗してDNA脱メチル化と転写の脱抑制を行う因子をトランスポゾンVANDAL21がコードすることを明らかにした。これは予想外の発見であり、今後新たな研究分野につながると期待する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)VANDAL21のコードする抗サイレンシング因子のゲノム中での分布や機能解析を行う。 (2)Tal1のセントロメア特異的挿入に関与する宿主因子同定のための順遺伝的選抜を行う。 (3) Tal1内部にテロメアを入れたものを用い、テロセントリックな染色体を作る系を構築する。 (4)ibm1変異による発生異常を抑圧する変異の解析を進める。具体的には、原因遺伝子を同定しているので、この産物のゲノム上での分布を知る。また、ibm1による発生異常を仲介する標的遺伝子を探す。
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