2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子疫学とケミカルバイオロジーを駆動力とする食品因子感知システムの解明
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22228002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立花 宏文 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70236545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 由紀 九州大学, 先端融合レドックスナビ研究拠点, 准教授 (20390304)
田中 浩士 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40334544)
栗山 進一 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90361071)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 食品因子 / 食品機能 / 感知分子 / 分子疫学 / ケミカルバイオロジー / イメージング / 緑茶カテキン |
Research Abstract |
本研究課題は生体が機能性食品因子を感知するメカニズムを解明することを目的として、 1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を行った。 感知分子の同定に関し、トコトリエノールの感知関連分子として5種類の候補遺伝子を同定することに成功した。また、cGMPが緑茶カテキンEGCGシグナリングのセカンドメッセンジャーとして重要な役割を担っていることを発見した。 緑茶カテキンEGCGの機能性発現過程を可視化するためのプローブとしてEGCGの蛍光標識体の作成を試み,EGCGの生理活性を保持したEGCG蛍光標識体の合成に成功した。EGCGの感知に関与する分子の動きを可視化するため、これら分子の相互作用をFRET/BRET解析するための細胞系の構築に成功した。 昨年度,緑茶カテキン EGCG を標品ベースで高効率にイオン化できる数種のマトリックスの中から,naphthalene 誘導体のみがEGCG を組織切片上で可視化できることを発見した。そこで, このnaphthalene 誘導体を用い,EGCG を投与したマウス肝臓と腎臓で EGCGならびにEGCG 代謝物(グルクロン酸抱合体ならびに硫酸抱合体)を同時にin situイメージングすることに世界に先駆けて成功した。 喫煙習慣や酸化ストレスマーカの値がEGCG感知レセプター67LRの発現量と相関がある可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を遂行し、いずれの研究項目においても計画通りの成果が得られている。 今年度は特に,以下の点において当初の目標を超える研究の進展があった。 緑茶カテキンEGCGの生体感知機構の解析は、がん細胞における全く新しいアポトーシス誘導経路の発見に繋がる画期的な成果(本成果は掲載誌J. Clin. Invest.の表紙に採択されるとともにJCIの注目論文のダイジェスト版であるJCI Impactの表紙やEditor’s picksとして取り上げられた)として高く評価されている。また、本研究はEGCGのみならずその誘導体にも抗がん活性が期待できることを明らかにしており、従来の抗がん剤とは全く異なる新しい作用機序に基づいた「67LRを標的とする分子標的抗がん剤の開発」の可能性を提示したこと、さらに、食品因子としてのEGCGの生理活性を医薬品によって飛躍的に増強できることを明らかにし、「Green tea polyphenol in combination therapy」としてがん治療における新領域を切り開いたこと(掲載誌のCommentary)等はいずれも当初には想定していなかった成果である。また,従来の標識化が必要な分子イメージング法では計測不可能な微量食品因子(緑茶カテキン)とその代謝物の組織内分布情報を非標識で同時に可視化できる質量分析イメージング技術の開発に世界で初めて成功した点は予想を上回る成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究方針通り,1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を遂行する。
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Research Products
(69 results)