2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しく発見したオートファジー機構の包括的理解とその「オートファジー病」への応用
Project/Area Number |
22229002
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 昭充 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (50381877)
吉田 達士 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任講師 (80315936)
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Keywords | 遺伝学 / シグナル伝達 / 生体分子 / ストレス / オートファジー / 貧血 / 発癌 |
Research Abstract |
オートファジーは、細胞が古くなった自己構成成分を消化、再利用する浄化機構であり、全ての細胞が普遍的に有している細胞機能である。本研究では、我々が発見したAtg5/Atg7非依存性オートファジー機構に関して、1、分子機構の解明、2、生物学的役割、3、Atg5依存性オートファジーとの相互作用、4、疾患病態への応用、に関して検討を行い、以下の成果を得た。 1、Atg5/Atg7非依存性オートファジー分子機構の解明:従来まで同定していたUlk1,Beclin1,Rab9に加えて、さらに7種類の蛋白質が、Atg5/Atg7非依存性オートファジーに関与している事を見出した。これらの蛋白質は、データベースサーチ、Ulk1結合蛋白質、新規オートファジー誘導化合物の分子標的として同定したものである。 2、生理機能解析:Atg5/Atg7非依存性オートファジー分子を欠損させたマウスを5種類作製した。これらのうち2種類のノックアウトマウスに関して解析を進めた。その結果、いずれのマウスにおいても、赤血球の分化異常による貧血症、発癌率の上昇が観察された。即ち、Atg5/Atg7非依存性オートファジーは、これらの生命現象に深く関わっている事が示された。 3、Atg5依存性オートファジーとの相互作用:上記2種類のノックアウトマウスをAtg5欠損マウスと交配したところ、いずれにおいても貧血症の増悪が観察された。即ち、Atg5依存性オートファジーと非依存性オートファジーは相加的な役割を担っている事が明らかとなった。 4、疾患、病態への応用:新規オートファジー欠損マウスの解析により、新規オートファジーと、貧血症、脂肪肝、発癌などとの関連が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的である、「分子機構の解明」に関しては、関連分子7種類の同定に成功し、シグナル伝達機構を相当明らかにすることができた。「生物学的役割の解明」に関しては、2種類のノックアウトマウスを作製し、その機能の一端を明らかにできた。さらに、「Atg5依存性オートファジーとの関連」に関しては、相加的な役割を担っている事を明らかにできた。また、「疾患、病態への応用」に関しては、関連する疾患を明らかにすることができた。このように、設定したいずれの課題に対しても満足できる回答を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究をさらに深化させる為に、以下の研究を推進していく。 即ち、「分子機構の解明」に関しては、さらに関連分子を追加同定し、シグナル伝達機構をin vitroの系で再現できるようにする。「生物学的役割の解明」に関しては、作製が終了している3種類のノックアウトマウスの解析を行なうとともに、未作製の5分子に対してもノックアウトマウスの作製を行ない、生理機能をさらに明らかにする。これらの研究に加えて、新規オートファジーを制御できる化合物を同定し、新規オートファジーが関連する疾患のモデルマウスに投与し治療効果を検討する。
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Research Products
(17 results)