2011 Fiscal Year Annual Research Report
KLF転写因子による生活習慣病・癌の病態分子機構解明と治療応用
Project/Area Number |
22229006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 一郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70359628)
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Keywords | 転写因子 / 動脈硬化 / 糖尿病 / 慢性腎臓病 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
本研究では転写因子KLF5に注目して、心血管・腎・代謝疾患と癌の分子機構を解析するとともに、これら多様な疾患の背景にある共通した分子機序を明らかにする。組織特異的遺伝子改変マウス等を用いて、病態の発症・進展における機能的役割を明確にするとともに、KLF5が環境の変化に対して、細胞レベルでストレス応答と細胞内代謝を協調して制御する分子機構を解明する。KLF5と他のKLFを含む転写因子との相互作用に着目して転写因子のネットワークを同定する。これらの解析を統合して、長期に続く低レベルのストレスが、生活習慣病と癌を引き起こす分子機構を解明する。また、ストレス応答・炎症を直接の標的とする新しい治療法を開発することを目的とする。生活習慣病及び癌におけるKLF機能の解明を目指して、(1)心肥大・心不全、(2)骨格筋-心臓連関、(3)慢性腎臓病、(4)代謝疾患におけるKLF5並びにKLF6の機能解析を行い、心腎連関並びに骨格筋-心臓連関に重要であることを見いだした。ストレスと代謝応答のネットワーク解析について、KLF5の標的遺伝子をRNA-seq及びChIP-seqによって解析・同定した。その結果、腎臓で発現し、心臓へ作用する因子を同定するとともに、心筋細胞で発現し、心臓肥大と線維化を制御する因子を同定した。新規治療法へのトランスレーションとして、KLF5阻害薬の肺高血圧への作用を検討した。また、癌におけるKLF5の機能的役割を解析し、転移に重要であることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞特異的遺伝子改変マウスを用いることにより、実質細胞-間質細胞相互作用や臓器間連関の病態における意義について、当初の予定以上に新規の知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画に沿って検討を続ける。特にKLF5並びにKLF6によって発現制御され、病態や臓器連関を制御する因子を同定し、その病態意義を明らかにする。
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Research Products
(3 results)