2012 Fiscal Year Annual Research Report
視神経脊髄炎の新たなアストロサイトパチーの疾患概念の確立と病態、治療に関する研究
Project/Area Number |
22229008
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
糸山 泰人 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 院長 (30136428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70280873)
中島 一郎 東北大学, 大学病院, 講師 (50333810)
三須 建郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00396491)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 視神経脊髄炎 / デビック病 |
Research Abstract |
視神経脊髄炎(NMO)は疾患特異的なアクアポリン4(AQP4)抗体の発見以後、多発性硬化症(MS)との相違が明らかになってきた。私共は本疾患が免疫介在性アストロサイトパチーという新たな疾患概念であることを提唱している。NMOの疾患概念確立、病態解明と治療法確立が本研究の目的である。 I.臨床的解析:(1) 1946例のAQP4抗体陽性NMO症例の解析:発症年齢の平均は44歳(1歳~93歳)だった。小児及び老年発症例では男女差はなかったが、それ間の年齢の発症例では14:1と女性優位だった。小児例では視神経炎、高齢発症例では脊髄炎での発症が多かった。10%の症例では脳症候で発症し、約30%の症例で嘔吐、吃逆などの脳幹症候がみられた。(2)NMOにおける疼痛は78%にみられ、65%では中等度あるいは重度だった。McGill疼痛質問票による疼痛の種類の解析では、crampingが60%と最も高頻度だった。また重度の疼痛があるとBeckうつスコアが高かった。II. NMO病変のアストロサイトパチーと他の病理所見:(1) 免疫グロブリンや補体が血管周囲に沈着しその周辺でAQP4の広範は欠失がある典型的な病変の他、Wallerian変性、AQP4の選択的欠失、脱髄や軸索変性、オリゴデンドロサイトのアポトトーシスなど様々なタイプの病変も生じていた(2)アストロサイトタンパクであるGFAPの髄液濃度は、NMOの急性増悪期のほか一部の脊髄症で著明に上昇していた。一方、MS、神経ベーチェット病などでは上昇が見られなかった。(3)種々のサイトカインをAQP4抗体を投与したラットの脳内に注入したところ、IL1βが補体の産生を促進し好中球の浸潤、血液脳関門の破綻を誘発しNMO様の病変形成に寄与していた。III. NMOの治療薬の薬効、副作用に関するレビューを行い国際共同研究として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(I)臨床データの検討、(II)アストロサイトパチーの病態解析、(III)治療に関するエビデンスの解析はいずれも目標を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)1946例のAQP4抗体陽性例の臨床解析をさらに進めていく。特に男性例の女性例っとの相違点、自己免疫疾患その他の合併症の解析などを行っていく。またAQP4抗体陰性NMOの特徴を検討する。 2)NMOの病態解析では、剖検例における種々の病理所見の分布や程度を解析する。培養アストロサイトを用いて、アストロサイトの細胞傷害メカニズムの詳細を検討していく。また髄液GFAP, MBPなどをさらに広範な疾患において測定する。 3)NMOの治療に関してさらにエビデンスの分析を行い、またステロイド治療の投与法について解析する。
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Research Products
(39 results)