2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22240001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩間 一雄 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50131272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大雄 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50283487)
宮崎 修一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00303884)
玉置 卓 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40432413)
デビッド エービス 京都大学, 情報学研究科, 特定教授 (90584110)
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Keywords | アルゴリズム / 計算困難問題 / 情報の補填 / 数理モデル化 / 理論的性能保証 / 劣線形時間 / 乱化アルゴリズム / 分散アルゴリズム |
Research Abstract |
不完全情報をいかに扱うかが現代アルゴリズムの大きな課題になっている.我々は過去数年この問題に取り組んできたが,今までの研究はどちらかと言えば時間的な情報の不完全性つまり将来の情報は原理的に得られないという困難に立ち向かうものであった.しかし,情報の不完全性は勿論これだけではない.例えばインターネットの広範な部分に広がるデータは原理的には完全なデータとして存在するものの,それを欠損なく取得するのは極めて困難である.本研究の目的は,このような空間的な情報の不完全性を克服できるアルゴリズムに関して,その設計技法と評価手法を含めた総合的体系を作り上げることである. 以下,代表的な結果であるPageRankゲームにおけるナッシュ均衡判定について述べる.ウェブページの著者は自分のPageRankを上げることに関心がある.彼らの利己的な行動を研究するために,J.Hopcroft, D.SheldonらはPageRankゲームを発案した.PageRankゲームでは,それぞれのウェブページの著者(プレイヤと呼ばれる)は,有向グラフのそれぞれの頂点に対応し,PageRankを最大化するように自分の頂点から辺を配置したり取り除いたりする. 本研究では,PageRankゲームにおいて,プレイヤの行動の結果として得られたグラフがナッシュ均衡かどうかを決定するという問題を考えた.この問題に対して,グラフが木である場合には,0(n^2)時間アルゴリズムを,一般である場合には,0(2^k n^4)時間アルゴリズムを与えた.ここで,kはグラフのすべての二重連結成分における頂点の最大次数を表す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的で挙げた具体的テーマ全てにおいて,以下の通り一流国際会議級の成果を上げることができた.性質検査・定数時間アルゴリズム(STOC11,CCC11),デジタルオークション(ANALCO10),安定マッチング(ESA11,ESA10),オンラインアルゴリズム(WAOA11),SATに対する乱化アルゴリズム(ITCS12,ISAAC11),PCP理論による近似度の下限(RANDOM10),回路計算量(CCC12,CSR12),量子計算における質問計算量(SODA22,SWAT12).
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画以上に進展しているが,基本方針は変更せず,それぞれのテーマの研究を継続する.特に,デジタルオークションとオンラインアルゴリズムにおける研究プロジェクトが完成に近づいており,これらをまとめて論文にして発表する.
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Research Products
(17 results)