Research Abstract |
近年,自動車事故が原因による死者数は減少の傾向にあるが,事故数そのものは増加の傾向にある.高齢者ドライバの事故の原因は,状況判断能力の低下と操作の遅れ・誤りだと言われており,高齢者の運転を的確に支援する技術が求められている。本研究では,複数のセンサから得られる車両の走行環境情報を論理的なデータ空間に統合し,このデータ空間に対して統一的な手法でアクセスすることで,複数のアプリケーションから容易に情報を取得する技術の開発を行う.そこで,安全運転支援のため車両に搭載されたセンサからの情報に基づき障害物や前方車との衝突危険性を論理データ空間として実現するため,センサデータの蓄積型データ管理システムおよびストリーム型データ処理システムを開発し,情報処理に必要な計算量やモジュール間の通信オーバヘッドを評価した.蓄積型データ管理システムにおいては,地図データをはじめ固定的障害物のデータに関して効率がよいが,短時間で移動する車両や歩行者に関するデータを処理すると実時間性の要件を満たすことができず,一方で,ストリーム型データ処理システムではその逆の特性を持つことをシミュレーションで確かめることができ,その上で,これら蓄積型データ管理システムとストリーム型データ処理システムを融合したシステムの検討,設計を進め具体化してきた.一方で,関連研究の調査を通して,我々の研究目的と同様に,欧州においても自動車メーカとサプライヤが共同で地図データ上に,動的な車両や歩行者などに関するデータを重畳して管理するシステムを実現し,それを世界標準化しようとしているプロジェクト(LDM:Local Dynamic Map)があることがわかり,我々としても世界標準化の対抗策を検討した.一部の詳細な検証については,人員確保がうまくいかず実施できなかったため,予算繰越措置も含め,次年度に実施する予定としている.
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