2011 Fiscal Year Annual Research Report
分散プロトコルと並列プロセッサによる高度エネルギー制御ネットワークの研究
Project/Area Number |
22240004
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山中 直明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80383983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 聡 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特任准教授 (10449027)
山口 正泰 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特任准教授 (60509967)
石井 大介 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特任助教 (40548450)
|
Keywords | スマートグリッド / スマートハウス / 電力スケジューリング / 太陽光発電 / 蓄電池 / 燃料電池 / 電気自動車 / エネルギー最適化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度に発達した通信ネットワークとその技術を活用して、電力エネルギーの需給調整と平滑化、及び自然エネルギーの利用拡大を図り、電力エネルギー問題の解決を図ることにある。本年度はゾーン(複数家庭)内での電力需給最適化方式、送電ロスが最少となる発電源の選択法、及び電力会社の発電量平滑化に向けた各家庭での太陽光発電量の広域予測手法について研究を行った。更に、ゾーン内(数軒程度)での電力需給のマッチングを検証する実験システムを構築し、提案電力需給最適化アルゴリズムについての有効性を検証した。実験システムは、小型PC7台とセンタサーバ間をIPネットワークで接続した構成をとり、各小型PCはスマートハウス内の電力需要/供給制御をエミュレーションして制御するスマートメータ機能を模擬し、センタサーバより周期的に電力需要情報を収集し、各スマートハウスの電力の需給調整をリアルタイムに制御できるものである。従来の電力スケジューリングはリアルタイムで実施されておらず、需要調整の遅延によるインセンティブも未考慮であったが、提案電力需給最適化アルゴリズムは、電力網の負荷に応じて双極関数的に電力価格が増加する電力単価を用い、各家庭に料金メリットがある形で電力需給調整をリアルタイム(15分周期)で実施できることから、予測精度のズレに対するロバスト性が高く、有効な電力需給最適化方式であることを検証した。電力の地産地消を実現するため、物理デバイス(発電・蓄電・送電設備)を保有せずに、需要家側のデバイスを制御する権利を有するEVNO(Energy Virtual operator)という新たな電力ネットワークアーキテクチャを提案し、仮想送電による送電ロス最小化に向けた提案を実施した。広域での太陽光発電量の予測については、セグメント分割粒度の細分化(マップ生成範囲は1.0km^2,セグメント1.0m^2)と過去のサンプリングデータを活用するバーチャルサンプリング手法により、昨年提案した方式に比べて数%の予測誤差の向上(64ノード、深さ3:誤差13%→8%)が図れることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ゾーン(複数家庭)内での電力需給最適化アルゴリズムについて、シミュレーションとデモシステムにより有効性を検証し、太陽光発電量の予測アルゴリズムの精度の向上が実施できている。また蓄電池を活用したゾーン内での時間軸上での電力需給調整についてシミュレーション評価を実施している。 ・ゾーン内(数軒程度)での電力需給のマッチングを検証するデモシステムを構築し、提案電力需給最適化アルゴリズムについてデモシステムによる動作検証ができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
・電力需給の時間軸上での調整にはバッテリが有望であること、電気自動車(EV)のバッテリ容量は家庭用バッテリの約4倍(約2日)あることから、移動先のEVが仮想的に家にあると同等に活用でき、更に自然エネルギー(太陽光、風力、地熱等)を活用した発電源が各家庭から離れていても、仮想的にHGW(Home Gateway)の制御範囲として扱えることで、電力需給調整範囲の拡大と自然エネルギーの活用拡大を図れることから、スマートハウスのHGWの仮想化アーキテクチャの研究が課題と考えています。 ・複数ゾーンの電力需給調整制御を更に上位の広域エリアで制御する電力制御アルゴリズムの深耕と、今年度構築したゾーン内電力需給制御デモシステムの広域エリアへの機能拡充を計画しています。
|