2012 Fiscal Year Annual Research Report
分散プロトコルと並列プロセッサによる高度エネルギー制御ネットワークの研究
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22240004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山中 直明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80383983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 聡 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特任教授 (10449027)
山口 正泰 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特任准教授 (60509967)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スマートグリッド / EVNO / 電気自動車(EV) / プラグインハイブリッド車(PHEV) / 電力需給調整 / ホームゲートウェイ(HGW) / 自然エネルギー |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度に発達した通信ネットワークとその技術を活用して、電力エネルギーの需給調整と平滑化、及び自然エナルギーの利用拡大を図り、電力エネルギー問題の解決を図ることにある。本年度は電力需給の時間軸上での調整にはバッテリーが有望であることから、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに着目して研究を行った。電気自動車(EV)のバッテリー容量は家庭用バッテリーの約4倍(約2日)あることから、EVのバッテリーの活用範囲を拡大する(充放電の地理的制限を解決する)HGW(Home Gateway)の制御範囲をEVの移動先まで延長した仮想充放電方式を提案して有効性を確認した。また、プラグインハイブリッド車(PHEV)の普及に伴い充電時間が重なることから電力需要のピークが発生することが懸念されるため、電力需要のピークを下げる遺伝アルゴリズムを用いたPHEVの充電時間を制御するアルゴリズムを提案し、有効性(電力需要のピーク低減、電力料金の削減)をシミュレーションで検証した。 また、ゾーン内の各家庭間での電力の需給調アルゴリズムを評価する評価環境を構築した。具体的には、家庭がHGWに設定した各家庭のポリシーに従って各家庭の電力の需給調整を分散的に制御するアルゴリズムの評価環境を完成させた。更に、ゾーン内の1家庭を模擬するスマートルーム(スマートハウス相当)を作り、家電製品の消費電力の計測と給電制御ができる環境を一部構築した。 また、研究成果を、慶應テクノモール2012(2012/12/7)、川崎国際環境技術展2013(2013/2/1,2)等でのデモ展示によりアピールした。 そして、提案しているEVNOの理解者を増やすべく、「スマートネットワークの未来」-EVNOが作る新エネルギービジネス-の本を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・電力の需要と供給の調整方法には、時間軸上の調整と空間軸での調整があり、年度計画に従い双方についてバランス良く研究が進んでいる。具体的には、時間軸上での調整アルゴリズムについては需要を移動可能と移動不可に分け、変動料金制のもとに短周期での需給調整することで、需給調整アルゴリズムの有効性(ボトムとピークの比の改善、電力料金の低減)を検証し、更に、PHEVの普及に伴い充電時間の重なりにより発生する電力需要のピークを改善するPHEVの充電時間調整するアルゴリズムを提案し、シミュレーションにより有効性(電力需要のピーク低減、電力料金の削減)を検証した。空間軸については大容量のEVのバッテリーの活用範囲を拡大する(充放電の地理的制限を解決する)HGW(Home Gateway)の制御範囲を移動先の家庭まで延長した仮想充放電する方式を提案しシミュレーションにより有効性を確認した。 ・電力需給調整アルゴリズムの評価環境については、ゾーン内の家庭間の電力の需要と供給の調整を、各家庭のHGWに設定した個々のポリシーに従って、M2M通信により実行できる評価環境を完成させた。更に研究成果を、慶應テクノモール2012(2012/12/7)、川崎国際環境技術展2013(2013/2/1,2)等でデモ展示した。
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Strategy for Future Research Activity |
・ゾーン内の各家庭の電力需給調整を分散的に制御し、複数ゾーン間に跨り需給調整を行うエリアブローカが、概略的に目的関数として各ゾーンを制御する大規模ネットワークの需給制御アルゴリズムについて研究する。 ・自然エネルギー(太陽光、風力、地熱、等)を利用した発電設備を持てない家庭/会社でも離れた場所に設置した発電設備をあたかも自分の家庭/自社の設備のように活用できる仮想送電/仮想受電を実現する広域電力ポータビリティについて研究する。 更に、電気自動車(EV)のように移動先でもあたかも家庭にあると同様にEVを活用できる広域電力ポータビリティ(移動検出とNW接続)、ネットワークアーキテクチャ、実現プロトコルについて研究する。 ・現在スイッチングハブで接続されている検証機器間の接続を、IPネットワークを擬似するネットワーク環境に移行する。具体的には、各家庭のHGWを擬似する小型PCと、各家庭のHGWに設定されたポリシーに従って電力の需給調整を仲介するゾーンブローカサーバと、複数のゾーンブローカ間の電力の需給を仲介するエリアブローカサーバを、ネットワーク機器(レイヤ3スイッチ他)を介して接続する環境を構築し、電力需給制御に関する、広域での制御網技術を研究する。 ・スマートルーム(スマートハウス相当)を拡充する。ゾーン内の1家庭を擬似する構築中のスマートルームの機器を増やし、電気機器の消費電力の計測周期の短縮化(HEMSからの計測データ周期の短縮/スマートタップの活用)を図り、機器の消費電力制御機能の拡大を行い、電気機器のデマンドリスポンス制御技術について研究する。
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Research Products
(8 results)