Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 正俊 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (40212857)
横井 浩史 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90271634)
明 愛国 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (50239456)
鈴木 陽介 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (20582331)
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Research Abstract |
多様な触覚情報の統合を図るアーキテェクチャの開発では本年度は,回路のネットワーク構造の再考と,3次元配置及び完全無死角を目的とした多段リング構造の開発,また多様な検出素子の分布量を高速・選択的に計測するための選択方式の開発として,高速な全方位センシングを可能とする近接覚センサの開発を行った。開発したセンサは赤外線発光・受光素子を抵抗ネットワークで接続したアナログ回路網で構成されており,その出力信号から近接物体の存在する位置と距離を推定することができる。視覚センサや測域センサを用いる方式と比較すると,本センサでは情報処理のほぼ全てをアナログ回路上での演算で実行できるため高速応答性に優れており,全周を1[mS]以内でセンシングすることができる。また,小型の素子を離散的に配置する構成であるため省スペースかつ多様な表面形状に全面実装可能である。さらに,素子数が増えても配線数や計算量が変わらないた。め,素子密度を必要に応じて高めることができる等の特徴を有している。 初期すべり覚センサの開発では本年度は,感圧素材が初期滑り状態で特異な信号成分を離散ウェーブレットを用いて初期滑りとそれ以外の場合についての分離を行った。この結果,特定の外力に対して誤検出が稀に生ずるため検出手法の改良が新たな課題として残る。 また,初期滑り検出がどの程度一般的であるかを確かめるため,接触対象物の材質,表面アラサ,摩擦係数の違いについて,滑り速度,接触力,接触面積を変化させた実験を行い検証した。この結果,滑り速度の低速限界があるが,材質等の影響を受げず,初期滑りが検出可能であることを検証した。また,本すべり覚センサの高性能化のため,数ある感圧導電性ゴムの種類の中から最もすべり検出に適しているものを選定した。さらに,表面保護として被覆材を取り付けた場合の影響等についても調べ,検出能力を向上させる被覆手法について明らかにした。 また,本課題で開発した,薄型高感度で初期滑りが検出できるセンサを取り付けることで対象物を滑らさず器用に把持できる,より完成度の高い義手へ実装を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
従来外界情報の入力装置として,視覚,聴覚にはビデオカメラ,マイクロホンという優れた標準的入力装置がある.しかし,触覚にはそれらと比較して標準となる入力装置がなく,Hapticsなど触覚を必要とする分野でのソフトウェア蓄積の遅れ,それによる研究開発効率の低下の原因となっていた。今回研究しているシステムは,同じ動作原理を用いるため,ソフトウェアの統一が取りやすいなどの特徴があるため,触覚センサの共通的プラットホーム技術になりうる可能性は高いと思われる。このプラットホーム技術の構築を目的に研究を進めていきたい。
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