2011 Fiscal Year Annual Research Report
TDP―43過剰発現による孤発性ALSのサルモデル作製
Project/Area Number |
22240039
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
横田 隆徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90231688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 聡 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70282481)
内原 俊記 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (10223570)
木村 展之 独立行政法人医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 主任研究員 (80392330)
|
Keywords | TDP-43 / ALS / サル / 前角運動神経細胞 / リン酸化 / Betz巨細胞 / 運動ニューロン |
Research Abstract |
FLAGを標識した野生型ヒトTDPをAAVベクターに組み込み,サル脊髄局所に注入して過剰発現させたモデルで,脊髄の頸髄から腰髄に至る広範囲な前角運動神経細胞や大脳にTDP-43タンパクの異常局在を再現した世界初のALSサルモデル作製に成功し、論文発表も行った(Brain2012)。FLAG-TDPの異常局在病初期において脊髄前角のほぼすべての外側核群に神経細胞でTDP-43の核から細胞質への局在の変化を示し、経過進行とともに細胞脱落、萎縮した。一方、脊髄前角の内側核群の大型神経細胞ではTDP-43の過剰発現は核に限局して末期でも細胞脱落は明瞭でなかった。外側核のα運動ニューロンは上肢遠位の手内筋を支配する一方、内側核α運動ニューロンは躯幹筋を支配することから、TDP-43過剰発現の病態は運動ニューロンに特異的で、α運動ニューロンの中でも上肢遠位筋支配の神経細胞優位なTDP-43病態と機能異常を示した。さらに、FLAG-TDPが注入部周辺の前角細胞だけでなく、そこへ軸索を送っていると考えられるBetz巨細胞にも発現していることを示した。外来性のFLAG-TDPは注入部位周辺の前角細胞の核から細胞質へ沈着するが、更にBetz細胞へこの変化が選択的に拡大していることを初めて示した。TDP-43の断片化やユビキチン化は発症には必須でなく、リン酸化は後期のイベントであることを明らかにした。また、正中神経運動軸索において閾値追跡法による興奮性測定を行った。持続性Na電流、一過性Na電流、fastK電流、slowK電流の4種のイオン電流を評価し、ヒトALS患者で認められる軸索興奮特性の変化と類似の変化である持続性Na電流の増加とfastK電流・slowK電流の低下の所見が得られつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進行性に運動麻痺、筋萎縮を示し、脊髄の頸髄から腰髄に至る広範囲な前角運動神経細胞や大脳にTDP-43タンパクの異常局在を再現した世界初のALSサルモデル作製に成功し、論文発表も行った(Brain2012)。東京医科歯科大学からプレスリリースも行い、朝日新聞など主要メディアで報道された。
|
Strategy for Future Research Activity |
作成したALSサルモデルにおいてTDP-43タンパクの異常局在が広範であったことから、病変の拡がりがウイルスの拡散か、TDP-43のpropagationかを検証するために、flag-TDP-43-IRES-GFP発現AAVベクターを用いて、GFPとFlag標識したFlag-TDP-43を同時に発現できるAAVによる新規のサルモデルを構築する。さらに髄液中のエクソソームを介した外因性TDP-43の伝播の可能性を考えて、髄液中の微量エクソソーム及びTDP-43の定量系の構築のため高感度ELISAアッセイ系を構築するために新規の分担研究者として樋口理博士の参加をお願いしたい。
|
Research Products
(26 results)