2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22240048
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤井 直敬 独立行政法人理化学研究所, 適応知性研究チーム, チームリーダー (20392095)
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Keywords | ミラーニューロン / ECoG電極 / 社会的認知機能 |
Research Abstract |
本研究計画では、社会環境の中で最も重要な他者の行動を、脳が如何に認知し、それに応じた社会的適応行動を実現しているかを、ニホンザルを用いて明らかにする。これまでの、他者認知は、ミラーニューロンと呼ばれる自己と他者の特定の意図的行動に反応する神経細胞活動を中心として、言語の進化や心の理論などと関連付けて議論されてきた。しかし、ミラーニューロン仮説には様々な疑問が投げかけられており、それに対する追試や検証作業は行われていない。特に、脳内のどの部位がどのように他者の意図認知に貢献しているのかの定量的検証は様々な技術的困難により不可能であった。そこで、この研究計画では、全く新しい多次元生体情報記録手法を用いて、この問題を明らかにすることとした。 22年度は、2頭のサルに128チャンネルのECoG電極をインプラントした。この電極は、大脳皮質の外側面だけでなく、一次視覚野と前頭前野の内側壁からの同時記録を行う事ができる。これによって、覚醒状態の大脳皮質の広範囲からの慢性神経活動記録が可能となった。この神経活動記録手法は、非常に安定した信号記録が可能であり、数日間に渡って記録されたデータを連続して記録したデータとして扱う事ができる。 この多次元生体情報記録データを元に、記録対象個体自身の運動と、目の前に座っている別個体の運動に関連する脳部位を同定する解析を始めた。1頭を用いた予備的な解析では、従来ミラーニューロンに関係すると言われていた部位に加えて、より広範な脳部位が、自他認知に関与するという結果が出てきた。現在は、この詳細について2頭目の結果についても検討を始めた。
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Research Products
(4 results)