2011 Fiscal Year Annual Research Report
組織・細胞の力学応答機構の統一的理解のための組織内微視的力学・生化学場の統合解析
Project/Area Number |
22240055
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359763)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
松本 明郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60437308)
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Keywords | バイオメカニクス / 力学解析 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
生体組織の力学応答メカニズム解明のため,生理状態で血管壁内部の微細構造に加わる力を推定し,この力とタンパク発現との関係を明らかにすることを目的として4年間に亙る研究を進めている.研究2年目の平成23年度も主に弾性板に関する力学解析を進めた.引張に伴い,弾性膜に描かれた蛇行線が,ゴム膜の引張と共に真っ直ぐになるモデルと,弛んだゴム紐が引張に伴い真っ直ぐになり,その後,伸び始めるモデルの2種を考え,実際の血管壁の変形が両モデルの中間で表されることを確かめた.この結果を基に生理的な円周方向ひずみを加えられた状態の弾性板に作用する力を推定した.次に生理的な円周方向ひずみを加えられた状態で弾性板をレーザ・マイクロダイセクタで切断し,切断点の孔の開き具合を調べた.その結果,孔の開き具合はモデルで推定された力の大きさと良い相関があり,モデルの妥当性が確認できた.推定された弾性板の張力は最低血圧で64-83 kPa,最高血圧で129-154 kPaであり,壁内の弾性板の負担張力には20%程度の差が有る可能性が示唆された.また,理化学研究所の協力を得て,弾性板の3次元形態を観察する方法を確立した.更に,生化学分析のためにRNAを壊さないように血管を摘出し,共同研究先の千葉大に送る方法を確立した.送った試料をマイクロアレイで解析し,十分な精度で解析できることを確認した.その後,平成24年度に入り,繰越分の予算でマイクロアレイ解析を積み重ねると伴にPCR解析も行ない,両者に良い相関があることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した組織引張に伴うコラーゲン線維の変形についてはまだ計測していないが,弾性板の3次元形態の計測法を確立し,また,生化学分析に関してもRNAを壊さないように血管試料を摘出する方法を確立しただけでなく,実際にマイクロアレイ解析を行うことができたなど,計画以上に進展が見られたから.また,H24年度に繰り越した予算を用いてマイクロアレイ解析を積み重ね,PCR解析と良く一致することを見出したため.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,当初より計画しながらまだ計測が行えていない引張に伴うコラーゲン線維の変形の計測法の確立とデータ蓄積を行う.また薄切片から切り出した平滑筋のマイクロアレイ解析は,詳細に検討した結果,手法がかなり困難であることが判明したので,実施を取りやめ,胸大動脈の腹側と背側の力学挙動の差を利用して対象タンパクを選定する,すなわち,胸大動脈の腹側は背側に比べて柔らかく,良く伸びることが知られているので,腹側と背側の組織を区別してマイクロアレイ解析し,両者の差から対象タンパクを選定することとする.
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Research Products
(15 results)