2012 Fiscal Year Annual Research Report
組織・細胞の力学応答機構の統一的理解のための組織内微視的力学・生化学場の統合解析
Project/Area Number |
22240055
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359763)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20532104)
松本 明郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60437308)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 力学解析 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生物・生体工学 |
Research Abstract |
生体組織の力学応答メカニズム解明のため,生理状態で血管壁内部の微細構造に加わる力を推定し,この力とタンパク発現との関係を明らかにすることを目的として4年間に亙る研究を進めている.研究3年目の本年度の成果は大きく3つある:1)ブタ胸大動脈薄切試料の引張試験に関しては,まず,試料厚みと力学特性の関係を調べた.その結果,14μmまで試料を薄くしても,正常血管の力学特性から有意に軟化することはなく,逆に初期弾性率は有意に上昇していた.この傾向は薄切に伴う血管壁の伸びを考慮しても変わることはなく,少なくとも,本研究で行っている程度の血管試料の薄切は血管の構造には影響を与えていないと考えられた.しかし,この硬化の原因は現在のところ不明である.また,コラーゲン線維の走行観察についても偏光顕微鏡でリターダンス変化を計測する方式を試したが,明瞭な画像が得られて居らず,今後の課題となった;2)理化学研究所の協力の下,ウサギ胸大動脈弾性板の3次元形態を観察し,無負荷状態の血管壁において,弾性板が円周方向に蛇行しているだけでなく,この蛇行が軸方向に波打っていることを見出した.これは血管摘出に伴う血管の軸方向への収縮の可能性が考えられた;3)ウサギ胸大動脈の腹側と背側の試料それぞれについてRNAマイクロアレイ解析を行い,両者で発現の異なる遺伝子を見つけた.また,RT-PCR法による解析を行い,ほぼ同様の結果を得た.RT-PCRによる確認が得られた遺伝子について,組織染色で確かめるため,抗体の選定を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題であった組織引張に伴うコラーゲン線維の変形について,リターダンスを用いた方法を採用し,計測を開始することができ,また,弾性板の3次元形態について,興味深い知見を得ることができ,更に,大動脈の腹側と背側で発現する遺伝子に違いについてRNAマイクロアレイ解析とRT-PCR解析でほぼ同様の結果を得られるなど,研究がほぼ計画通りに進行しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて,軸方向伸長と加圧に伴って弾性板の3次元形態がどのように変化するのか明らかにするとともに,弾性板の形態と平滑筋走行の関係を詳細に調べ,壁内の弾性板と平滑筋の相互作用を明かにする.また,これまでの解析から特定された背腹で発現の異なる遺伝子に関連する抗体で組織を染色し,弾性板の蛇行と発現するタンパクの関係を調べ,これまで蓄積している血管壁内の力学環境のデータと合わせて,力学環境と発現タンパクの関係を明にしていく.
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Research Products
(11 results)