Research Abstract |
静水圧刺激と動的流れ刺激を同時に実現する動的培養法として,応力-ひずみ制御による動的圧縮応力負荷の条件下で再生軟骨を培養する技術の開発を進めた.具体的には,応力-ひずみを動的に制御可能な力学試験機をベースに,再生軟骨にサイクリックなひずみを負荷するシステムを構築した.本システムは,無菌的な条件の下で温度,湿度,CO2濃度がコントロール可能である. 脱分化型のフェノタイプを有するウシ膝軟骨細胞(P2)を用い,これまでに開発してきた動的流れ場におけるスフェロイド形成技術を応用してウシ軟骨細胞からなるスフェロイドを同時多量に作製した.次いでモールドを用いてスキャホールドフリー3次元体を形成させた.この3次元体を開発したシステムに適用した.具体的には,37℃,湿度100%のもとで,20%ひずみを0.1~10Hzの頻度で,1日当たり2時間負荷し,計5日間にわたり動的培養をおこなった.動的培養後の3次元体の総コラーゲン量,プロテオグリカン量の定量,力学的特性の計測を行ったところ,5.0Hzの動的ひずみ負荷培養が,軟骨組織形成という観点で最適であることが示された.これにより,軟骨細胞からスフェロイドを経て3次元化した組織に,動的培養が適応可能であること,そして動的ひずみ負荷が,生化学的刺激と同様,軟骨組織形成に対して促進的に働くことが明らかとなった.今後は,このシステムをベースに,未分化な細胞ソースへの適用可能かどうかも検証する.
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