2012 Fiscal Year Annual Research Report
機能分子・生体分子電着による金属の汎用的生体機能化
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22240059
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
塙 隆夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90142736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 直之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90332519)
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
右田 聖 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (00512302)
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Project Period (FY) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 生体材料学 / 生体機能材料 / 生体適合材料 / バイオコンジュゲート材料 |
Research Abstract |
金属材料は典型的な人工材料であり、生体機能がないにも関わらず、優れた強度と靭性から依然として多くの医療用デバイスに使用され、その必要性はますます増加している。しかし、金属は人工材料であるが故に、生体適合性、生体機能性の面での課題が多い。その解決のためには、金属材料に生体機能を付与するための新たな科学と技術が必要となる。本研究では、金属表面に機能分子や生体分子を固定化する際の結合と固定化による生体機能発現のメカニズムを、表面科学的及び分子生物学的手法によって明らかにするとともに、これを一般的理論に拡張し、汎用性の高い技術とすることを目的としている。 本年度は、前年度に引き続き、機能分子・生体分子の電着条件の探索を継続するとともに、電着による分子固定化のメカニズム、分子固定化材料の生体機能発現メカニズムの解明を行った。特に、分子固定化のメカニズムを解明するために、サイクリックボルタンメトリーによるPEG電着中の電荷移動を補足し解析を行い、機能分子電着の際に電荷の移動が起こることを明らかにした。また、片末端をアミン、他の末端をカルボキシル基で修飾した双性イオンPEG(分子量2000、3000、5000)について、線維芽細胞による細胞接着発現について検討を行った。さらに、細胞膜類似機能分子であるMPCポリマーについても金属表面への電着の可能性を検討した。その結果、電着サイトであるアミンをランダムに分子中に配置するよりも、末端に配置したほうが、電着効率が高いことが明らかとなった。MPCポリマー電着チタンは、タンパク質の吸着を抑制することを家訓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電着メカニズムに関しては固定化PEG量のその場測定を可能とする測定系の構築を行い、現象の解明を進めており、電荷移動にまで議論を進めることができる段階まできた。また、生体機能発現メカニズムに関しても、PEG電着によるタンパク質吸着抑制、血小板粘着抑制、細菌付着抑制、硬組織適合性などを実証しており、細胞による機構解明に進んでいる。さらに、MPCポリマーといった機能分子に対しても電着固定が可能であり有効であることを示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を継続し、生体機能分子の電着機構・条件の探索を行う。また、すでに取りかかっているコラーゲンへの電着技術の応用を進める。これらの試料について細胞培養実験を行い、分子固定化材料の生体機能発現メカニズムの解明に着手する。適切なバイオマーカーを選択し、その変動を測定する。さらに、遺伝子のエピジェネティックな制御機構の解明に着手する。これらの結果を試料作製技術にフィードバックし、汎用的技術の創出に繋げる。さらに、MPCポリマー電着固定化の効果について検証を進め、また電着機構についても解明を進める。一方、PEG電着金属の摩擦低減特性についての検証を実施しその機構解明を行う。
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