2011 Fiscal Year Annual Research Report
リハ訓練効果を血清プロテオームおよび血中遊離アミノ酸解析で評価する研究
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22240067
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
別府 英博 (別府 秀彦) 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 准教授 (30142582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80267955)
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Keywords | 脳卒中回復期リハビリ / リハ運動訓練 / 生体成分 / 遊離アミノ酸 / 微量検体分析 / 質量分析 / 遺伝子産物 / UPLC |
Research Abstract |
『リハ訓練患者に有用な訓練効果指標マーカーを生体成分から得ることを最終目的』とする研究のうちリハビリ訓練効果と血清中遊離アミノ酸から評価する解析法の確立をめざした。23年度は、脳梗塞19名、脳出血10名の合計29名について、リハ項目[年齢、発症から退院日数、入院日数、FIM-00w(入院時FIM値)、FIM-99w(退院時FIM値)、FIM-gain(退院時FIM値から入院時FIM値を引いた値)、FIM-efft(FIM-gainを入院日数で割った値)]と遊離アミノ酸(21項目)との関連性について解析を行った。解析方法:説明指標となるアミノ酸について、Pearsonの相関分析を行った。目的指標であるリハ項目[年齢、発症から退院日数、入院日数、FIM-00w、FIM-99w、FIM-gain、FIM-efft]とアミノ酸との単回帰分析および重回帰分析を行った。結果:アミノ酸変化量の相関行列からL-ValineとL-Leucineがγ=0.905、L-LeucineとL-Phenylalanineがγ=0.813と強い相関が認められた。リハ項目とアミノ酸変化量の単回帰分析の結果から発症から退院日数、入院日数とL-Arginineに正の相関、FIM-gainとL-Serine、L-Arginineに正の相関が認められた。年齢、FIM-efftとアミノ酸変化量に相関関係は認められなかった。リハ項目とアミノ酸変化量の重回帰分析の結果から、年齢で有意なアミノ酸は、L-Histidine、L-Arginine、L-Aspartic acid、L-Alanine、L-isoleucin(正の相関)、グルタミン、尿素、L-Glutamic acid、L-Proline(負の相関)であり、R2=0.578であった。L-AlanineのF値が最も高く(F=15.633)、年齢に最も影響の強いアミノ酸であった。また、5例であるが脊髄損傷患者はBCAA(特にロイシンとバリン)との関連がいずれの目的項目でも認められた。以上の結果は、血清中遊離アミノ酸の変動は運動や日常活動量に影響を受けている可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)当該研究費用で購入したシングル四重極質量分析が23年度に本格的に稼働し、標準品のマススペクトルの作製、検量線の作製を済ませたのち、血清検体の前処理の検討を行った。血清中には標準アミノ酸以外のアミノ基の分離が見られたが未知成分として登録した。ここまでが、前期の目標であったが、23年8月に終了しおおむね順調に進展した。 次に回復期リハビリテーション病棟の患者は脳卒中による片麻痺患者を中心とした患者検体のUPLCによる分析およびMSによる成分同定は簡単でなく、多少のトレーニングを要したが成分解析を済ませ、統計解析と進んだ。今回、統計処理をいくつか試みて、関連する遊離アミノ酸が同定されたが、代謝との関連については説明できないまま次年度に持ち越すことになったことから、最終結果を得るまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は同一患者の血清プロテオームとUPLC-MSとの結果をあわせながら、リハ運動訓練によるQOLの向上、ADL評価の向上、さらに体力や筋力、運動機能に関する遺伝子産物の網羅的解析を進めていく。
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Research Products
(10 results)