2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品ゲルの咀嚼過程におけるフレーバーリリースと食品ゲルの構造・物性との関係の解明
Project/Area Number |
22240076
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西成 勝好 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 名誉教授 (10254426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊崎 泰枝 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (60291598)
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 上席研究員 (00353938)
森高 初恵 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40220074)
山田 恭正 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (20200751)
松川 真吾 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (30293096)
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Keywords | 咀嚼模倣器 / 破砕片 / 網目構造 / ショ糖 / 寒天 / ジャム / 拡散係数 / 感覚強度 |
Research Abstract |
ショ糖および寒天濃度の異なる各種寒天ゲルの一軸圧縮による破壊で放出されたショ糖量をHPLCで定量した。いずれの寒天ゲルにおいても圧縮回数が増加に伴いショ糖放出量が増加したが、圧縮回数が10回を超えると増加率が低下した。またショ糖濃度が20%wtの場合寒天濃度(0.5~3.0%wt)の増加に伴いショ糖放出量が減少したが、ショ糖濃度が40%以上では寒天濃度とショ糖放出量の間に一連の関連性が認められなかった。 食品ゲルからのフレーバーリリースと網目構造との関係を把握するために、磁場勾配NMRによるプローブ分子(デンドリマー)の拡散係数測定を行い、保存期間の異なるアガロースゲルにおける網目サイズを見積もった。また、咀嚼過程での水分放出の影響を考えるために、静水圧下での水の透過性を測定した。その結果、保存期間に伴い、網目サイズが大きくなり、この時、水の透過性も大きくなることが示された。一方で、水分子、ショ糖、ナトリウムイオンの拡散係数を測定したところ、これらは網目の影響をほとんど受けないことが分かった。したがって、咀嚼過程におけるフレーバーリリースにはフレーバー成分のゲル内での拡散よりも加圧による水分放出によるリリースが呈味に大きく影響すると考えられる。 14名の官能評価パネルにより、市販のいちごジャムを用いて、感覚強度の時間変化を答えさせるTime-Intensity法の訓練を行った。ジャム2.5gを一度に口に入れ、5秒間口内に保った後に自由に摂食・嚥下させ、甘味、酸味及びいちご風味を評価した。評価項目により異なるフレーバーリリース曲線が得られ、解析パラメータの検討を行った。 寒天に食品添加物として使用されているオレンジフレーバーを添加し、密閉容器内でゲルを破壊した。この時にリリースされるフレーバーを窒素ガス気流下でトラップし、GCおよびGCMSで分析をした。その結果、フレーバーに含まれる香気成分の内、疎水性のエステルおよび炭化水素は同定・定量されたが、シトラールのようなアルデヒド類は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルとして使っている寒天ゲルの調製法を研究グループ間で正確に同じようにできていないこともあり、相互の関連性を明らかにできていない。当初、タンパク質系のゲルも調べる計画であったが、寒天ゲルだけでも解決できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲルの調製方法の統一し、研究グループ間の情報交換、実験結果の共有を進めて、タンパク質ゲルに関してもフレーバーリリースの基本的な部分に関しては今年度中に成果を挙げる。
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Research Products
(55 results)