2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内膜系コンパートメントを介するがん増殖制御機構
Project/Area Number |
22240088
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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Keywords | チロシンキナーゼ / がん遺伝子 / がん / Src / 分子構造 |
Research Abstract |
がん増殖における後期エンドソーム脂質ナノドメイン上のp18を経由するシグナル経路の役割を明らかにするために、以下の解析を行った。 1) 後期エンドソームを中心とした膜融合反応におけるp18の役割を解析し、オートファゴソームとリソソームの融合反応においてp18が必須の役割を担うことを明らかにした。現在、その反応に関わる標的蛋白質の同定を進めている。 2) p18に依存するERK基質転写因子と標的遺伝子の同定と、MAPK経路以外のシグナル経路の寄与を検討した。その結果サイクリンD1が増殖と関連したERK標的であることが明らかとなった。また、DNAマイクロアレイによりp18に依存して発現変動する遺伝子を検索し、種々の特異的因子を同定した。現在それぞれの性質の解析を進めている。さらに、p18がmTORC1経路の活性化にも必須の役割を担うことが見いだされ、p18の細胞の成長シグナル経路における意義が明らかとなった。 3) p18のリン酸化がSrcの後期エンドソームへの集積に関わることを見いだしているので、その生理的意義を解析した。その結果、リソソームでのSrcの分解にp18が関与することが示唆された。 4) 表皮細胞特異的なp18KOマウス(K5-Creマウスとの交配)の表現型の解析を行い、p18KOマウスが表皮細胞の増殖や細胞間接着機能に重篤な異常を呈して生後間もなく死亡する原因として、細胞間接着を担うE-cadherinの膜提示の異常による接着結合の機能不全が同定された。現在、膜蛋白のターンオーバー機構におけるp18の機能解析を進めている。
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