2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境発がんリスク評価体系―中皮腫惹起能と早期予測指標に関する研究―
Project/Area Number |
22240093
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 修一 相模女子大学, 栄養科学部, 教授 (90129148)
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Keywords | 中皮腫 / アスベスト / ナノマテリアル / 環境発がん / 発症前診断 |
Research Abstract |
環境発がんリスク評価体系-中皮腫惹起能に関する研究- アスベスト・ナノマテリアル腹腔内投与にまる初期病変と特異タンパク発現の解析: 前年度に開始した雌性F344ラットへの酸化チタン3種(P:球形、F100:短繊維、F400:長繊維)、クリソタイル(Chr)、チタン酸カリウム繊維(KT)、シリコンカーバイト繊維(SiC)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)に、超音波による開裂処理を施したクリソタイル2種(短時間および長時間処理)を加えて、腹腔内投与後の経時的なN-ERC変化の観察を行った。特殊な超音波処理によってアスベスト繊維の長さを変えず、繊維をナノサイズに開裂させることに成功した。中皮腫惹起能に対する繊維状粉じんの繊維径がナノサイズとなった場合の影響を、ラット腹腔内投与による腫瘍発生も併せて観察を進めた。 環境発がんリスク評価体系-早期予測指標に関する研究- 中皮腫の長期生存・治癒において、発症前診断・早期病変発見は急務である。簡便な高感度の血液検査による診断法の開発と新規治療法の開発を進めた。ERC産物(70kDa)は蛋白分解酵素で切断され、40kDaのC末(C-ERC)と30kDaのN末(N-ERC)に別れる。C-ERCは膜表面に残り、正常組織では中皮細胞に特異的に染色され、腫瘍では、上皮型中皮腫で高発現しており、細胞接着に関与する。一方、N-ERCは細胞外に分泌され、中皮腫患者の血清中に高濃度に検出されるものの、その機能については不明であった。 我々は、分泌型N-ERCに細胞死抑制効果があることを見出した。また、N-ERCに結合する蛋白の存在を確認した。早期予測指標であるバイオマーカー機能を持つ遺伝子医薬・抗体治療法の開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中皮腫惹起能の検討と早期予測指標であるバイオマーカーの開発が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「環境発がん研究」推進は、資本国の国際貢献の面からも重要な課題である。特に、難病であり、且つ診断の難しい中皮腫の長期生存・治癒においては、発症前診断・早期病変発見は急務である。本研究は、中皮腫惹起能のある因子による発がんの初期過程の病理学的観察と経時的な血液バイオマーカー変動との相関を見る極めてユニークなものである。バイオマーカー機能を持つ新規遺伝子医薬・抗体による新規治療法開発の推進が期待される。
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Research Products
(7 results)