2011 Fiscal Year Annual Research Report
低次元構造集積による酸化物ナノチューブへの革新的環境・エネルギー創成機能の集約
Project/Area Number |
22241017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20226658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠瀬 尚史 香川大学, 工学部, 准教授 (60314423)
佃 諭志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00451633)
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Keywords | ナノ材料 / 環境材料 / 太陽電池 / 酸化物ナノチューブ / ナノハイブリッド / 光触媒 / 機能共生 / 光化学機能 |
Research Abstract |
高効率エネルギー創製システムや高次環境浄化光触媒システムへ適応しうる次世代型の環境機能集約型材料へと深化することを目的として、酸化物(酸化チタン)ナノチューブ(TNT)の構造を原子・分子・ナノレベルで設計・制御する合成プロセスの最適化、材料創製と物性・機能評価を引き続き行い、以下の成果を得た。 1.化学的合成環境の制御により得られるサイズ制御したTNTについて、結晶および表面特性について調べ、合成プロセスに依存して欠陥や結晶性が変化し、これらが増感型太陽電池における分子吸着能・電荷輸送特性に影響することを明らかにした。更に、TNT単位表面あたりの増感色分子素吸着数を推算し、これがTNTの形質により変化することを解明した。 2.多様な希土類(Sm,Tm,Nd等)固溶型TNTを合成する複数のプロセスを開発し、材料基礎物性・光化学特性を精査し、希土類Sm固溶型TNTでは強い蛍光特性を発現することを初めて見いだした。 3.三価の希土類イオンの固溶により、静電的効果により本来持つ分子吸着能を大幅に改善することに成功し、その挙動ならびに構造との関連を解明した。加えてM^<3+>固溶型TNTでは、分子吸着能に加え、光触媒特性も維持しており、従来のM^<3+>固溶TiO_2とは異なる特性を示すことを初めて明らかにした。 4.光化学還元プロセスにより金属ナノ粒子を担持したナノハイブリッド型TNTを得る事に成功し、これらが優れた光触媒機能を示すことを確認した。 5.固溶型TNT膜電極を用いた増感型太陽電池セルでは、固溶量に依存した光電流が生じること、これにより発電特性を持つことを見いだし、これらは従来とは異なるエネルギー移動過程により発現する可能性があるとの基礎的な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初は大震災による実験インフラの利用が不可であり計画通りの実験研究ができなかったものの、夏以降順次回復・修復したためにその後は順調に研究が進んだ。また、従来知られていない挙動を見いだすなどの成果もあり、通年では概ね順調に達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでチタニア系ナノチューブ材料について多様な修飾型材料の創製と機能評価を行い、優れた光化学特性(光触媒、光電変換機能など)や新規な機構なども見いだした。今後は、これらから材料系、ターゲット機能の絞り込みを行い、更に触媒特性や光電変換特性に優れる材料およびシステムについて研究を行う。また、新規な光化学挙動や機能については既存装置での解析に限界もあるため、これらについては学内外の大型共同利用施設などの利用を図る予定である。
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Research Products
(39 results)