2011 Fiscal Year Annual Research Report
高炉カーボンニュートラルへのバイオマス高度利用に関する研究
Project/Area Number |
22241020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 正賢 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30325500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 潤 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20189905)
前田 敬之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (50150496)
大野 光一郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (50432860)
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Keywords | 高炉 / バイオマス / カーボンニュートラル / 高度利用 |
Research Abstract |
バイオマス(木炭)および石炭を45~250μmにふるいわけ、バインダーとしてアスファルトピッチを添加し、木炭のみ、木炭10%+石炭、木炭20%+石炭、木炭30%+石炭、木炭40%+石炭、石炭のみの6種類の試料(10mmφx8mm)をAr雰囲気中1173Kで1時間乾留して、コークスを作製し、それらのガス化速度、圧潰強度を測定した結果、以下の知見を得た。 1)ガス化温度が高くなるほど、またコークス中の木炭の配合量が増えるにつれて、ガス化速度は上昇することが分かった。組織観察の結果、石炭よりも木炭の方の粒径が小さく気孔が多いことが分かった。したがって、木炭の割合が増加するほど気孔が増加すると考えられ、この気孔の増加と木炭の粒径が小さいことにより木炭の配合量の増加とともにガス化速度が増加したものと考えられる。 2)ガス化率曲線の直線部分の傾きから見かけのガス化速度定数kを求めた結果、コークス中の木炭の配合量が大きくなるほどkは直線的に大きくなった。また、温度が高くなるほどkは大きくなった。実験試料の結晶性の調査をレーザーラマン分光光度計で行った結果、木炭の試料と石炭の試料間で結晶性に差はほとんど認められなかった。したがって、本実験ではガス化速度に対する結晶性の影響はないと考えられる。 3)石炭のみの試料の圧潰強度が約500(N/cm^2)、木炭のみの試料が約50(N/cm^2)であり、10倍ほどの差があった。また、コークス中の木炭の配合量が多くなると圧潰強度は直線的に減少した。この強度低下は木炭の配合量が増加すると気孔量が増加することと関係しているものと考えられる。また、この直線関係より木炭の配合割合からおおよその圧潰強度を予測できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオマス(木炭)と粘結炭の混合試料からのコークス製造およびガス化速度の測定ならびに強度の測定を行い、鉄鉱石と混合するための基礎研究は終了している。さらに、グラファイトの結晶構造の測定法も確立している。現在、バイオマスの乾留、チャーによる鉄鉱石還元とガス改質、チャーの燃焼ガス化特性の実験を行っており、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、バイオマスの乾留、チャーによる鉄鉱石還元とガス改質、チャーの燃焼ガス化特性の実験と平行して製鉄プロセスでのエネルギー評価が可能なシミュレーションモデルを構築しており、今後の研究推進によってバイオマス利用新高炉プロセスのエネルギー評価が可能なシミュレーションモデルを構築し、バイオマス利用およびCO_2削減の最適条件を提示することが可能となるものと考えられる。
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