2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22241028
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 淳 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30136551)
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Keywords | ナノ構造形成 / プラズモン / 金属ナノ構造 / 光電変換 / 太陽電池 |
Research Abstract |
今年度は、銀ナノ粒子と有機薄膜を組み合わせた光電変換素子の試作に重点を置き、その基本物性ならびに湿式系での光電気化学特性の評価を中心に検討を進めた。 (1)金ナノロッド含有薄膜(山田、連携研究者:高橋) 近赤外域に強い吸収をもつ金ナノロッドについて、ラングミュアブロジェット法による基板への固定化を行ったが、固定化量が低かった。表面の疎水化が不十分であることが原因であることを突き止め、改善のための実験をすすめた。一方、水溶性高分子フィルムへの含有を試みたところ、薄膜化が実現できた。 (2)光電変換素子の作製と評価(山田、PD,連携研究者;米村、高橋) 理論計算においても銀ナノ粒子が強い増強電場を発現することが明らかになってきたので、銀ナノ粒子と有機化合物を組み合わせた光電変換素子を中心に検討することとした。 静電吸着法などを用いて銀ナノ粒子を電極上に固定したナノ構造体を作製した。その上に有機層を取り付けるが、ポリチオフェンについては、電解重合法とスピンコート法について検討した。構築したナノ構造体は電子顕微鏡(九大所有)などで評価解析するとともに、光電変換素子の構造は吸収・蛍光分光法や原子間力顕微鏡(現有)で評価解析した。銀ナノ粒子のサイズや密度、光吸収層の厚みが異なる一連の素子を構築した。 構築した光電変換素子について、薄膜の厚みやキャパシタンスを比較検討するとともに、三極式光電気化学セル(既存)に組み込み、光電流波長依存性や光電池特性の比較検討を進めた。その結果、薄膜の厚みが20-50nm程度で銀ナノ粒子の効果が大きくなることが分かった。さらに、有機色素-プラズモニックナノ粒子ハイブリッド薄膜の検討も予定通り開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論計算ができるようになり研究の進展がスムーズになった。特に銀ナノ粒子を含む光電変換素子についての基本物性と光電気化学測定がはかどった。金ナノロッドについては、フィルム中へのドープが可能となり、今後の無機、有機媒体による固定化のための指針がえられた。
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Strategy for Future Research Activity |
二極電池系への展開を図ることが目標となる。太陽電池用の電極の取り付けが課題であるが、嫌気下で作製できる容器を整備するとともに、光電流測定装置を改良することにより、実験の効率化を図る。また金ナノロッドの固定化についも基本指針が得られたので、上記と併せて、光電流に対するプラズモニックな効果の実証に向けて金ナノ粒子についても同様の実験をすすめる。
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