2012 Fiscal Year Annual Research Report
半導体へテロ構造中の量子準位間遷移とテラヘルツ共振器輻射場の超強結合の物理と応用
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22241036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 半導体量子構造 / テラヘルツ / 量子ドット / 超格子 / 単一電子トランジスタ |
Research Abstract |
半導体量子構造中の量子準位間隔など典型的なエネルギースケールは、テラヘルツの光子エネルギーの領域に有り、テラヘルツ電磁波を用いることにより、その物性の解明のみならず、その制御も可能になると考えられる。本研究では、特に強いテラヘルツ電磁波の照射により半導体量子構造の物性を制御することを目的として研究を行った。本年度の主な成果は以下の通りである。 1)半導体超格子を用いたブロッホ発振器実現において、最後に残された課題は超格子の微分負性抵抗に起因する高電界ドメインの発生をいかに抑制するかである。本研究では、半導体超格子に強いテラヘルツ電磁波を照射することにより、高電界ドメインの発生を抑制することを試みた。アンテナおよびSi超半球レンズを装着して、テラヘルツ電磁波が強く結合するように工夫した半導体超格子に2.5 THzの放射を照射したところ、電流が照射電磁波パワーに依存しない不動点が観測された。この不動点のバイアス電圧を境目にして、電磁波の照射とともに電流が減少・増加することが観測できた。この振る舞いは、強いテラヘルツ電磁波の照射により、テラヘルツ光子支援トンネル効果により伝導が変調され、高電界ドメインを抑制することができたことを意味している。 2)我々は単一自己組織化量子ドットにナノギャップ電極を形成すると、単一電子トランジスタとして動作し、超伝導やスピン物性において特異な物理を見せることを明らかにしてきた。本年度は、電極構造をアンテナ形状とし、さらにSi超半球レンズを装着することにより、量子ドットとテラヘルツ電磁波の強い結合を試みた。その結果、通常では電子が伝導できないクーロンブロケード領域でも、テラヘルツ光子支援トンネル効果により伝導が可能になる現象を見いだした。本成果は、テラヘルツ電磁波で単一電子の伝導を制御することができることを示したという点で大きな意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(16 results)