2011 Fiscal Year Annual Research Report
長周期地震動を受ける超高層集合住宅の物・人・生活を守る技術の開発
Project/Area Number |
22241041
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
齊藤 大樹 独立行政法人建築研究所, その他部局等, 研究員 (00225715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 徹 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10226855)
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
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Keywords | 長周期地震動 / 超高層集合住宅 / 制振構造 / 振動台実験 / 家具の転倒 / 防災意識 / 避難行動 |
Research Abstract |
本研究は、長周期地震動を受ける超高層集合住宅の耐震対策として、「物・財産を守る技術」、「人を守る技術」、「生活を守る技術」の3つのサブテーマについて研究開発を行い、それらを有機的に結びつけた総合的な耐震対策技術について検討した。 「物・財産を守る技術」に関しては、長周期地震動に対する鉄筋コンクリート造超高層集合住宅の耐震性能評価・向上技術について検討し、鉄筋コンクリート造建築物について、多数回繰り返しの揺れに対する損傷を評価する復元力モデルを開発した。さらに、超高層建築物の耐震性能評価・向上技術に向けた新たな制振機構の一つとして、滑車とワイヤ、ダンパーを用いた制振構造を提案し、基本性状に関わる解析および実験を行うとともに、特許「建築物の制振装置」を申請した。 「人を守る技術」に関しては、大振幅の揺れを再現した振動台実験により、高層階の居住空間の安全性の確保と避難方法・危険回避について検討した。とくに、家具・什器とともにダミー人形を室内に配置した振動台実験を行い、家具・什器の衝突や揺れの大きさと人の怪我との関係、家具・什器の種類、形状、重さ、配置に応じた適切な安全確保と避難・危険回避方法を検討した。 「生活を守る技術」に関しては、東日本大震災の発生を受けて、東京の超高層建物の住民や管理者を対象としたアンケート調査や自宅滞在型避難生活に関する意識調査を実施し、地震時の室内被害や住民心理、地震後に外部の避難所ではなく建物に留まるための方策について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間中に2011年東日本大震災が発生し、東京の超高層集合住宅が大きく揺れたことで、本課題の重要性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年東日本大震災によって、東京の超高層集合住宅が大きく揺れ、長周期地震動に対する超高層集合住宅の物・人・生活を守ることの重要性が改めて認識された。今後は、本研究の成果を活かし、住民の自助努力に専門家が技術的な支援をする方策を探る必要がある。
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