2012 Fiscal Year Annual Research Report
海溝型地震、高潮災害による「長期湛水」被害に対する防災戦略の構築
Project/Area Number |
22241044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧 紀男 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40283642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍬田 泰子 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50379335)
馬場 俊孝 独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, 研究員 (90359191)
米山 望 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371492)
近藤 民代 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50416400)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 南海トラフ巨大地震 / 長期湛水被害 / 東日本大震災 / 復旧・復興 |
Research Abstract |
1)地盤沈降に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発:東日本大震災の事例の検討を行い、伊豆半島~日向灘も含む断層モデルも考慮した南海トラフ地震による地盤隆起・沈降シミュレ-ション技術のプロトタイプの開発を行った。 2)津波・高潮災害に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発:東日本大震災を事例とし、地盤沈降に伴う水防施設に対する被害推定手法の確立を行い、地盤沈降に伴う水防施設の被害を考慮した浸水被害量の推定についての基礎的検討を行った。また、長期湛水に伴う都市施設の物理的被害シミュレーションモデルについて過去の構築湛水被害の事例等から基礎的な検討を行った。 3)「長期湛水被害」後の「復旧期間」の推定手法の構築:東日本大震災の事例と元に、湛水被害の復旧プロセスの検討、復旧資源量・各段階の完了日数の関係から湛水被害後の排水完了、ライフラインの復旧までの期間のシミュレーションモデルの基礎的な検討を行った。また、湛水地域でのライフラインの復旧戦略の基礎的検討を行った。 4)「長期湛水被害」時の社会影響評価手法の開発:東日本大震災、2011年タイ水害を元に、長期湛水が被災地域の社会活動について与える様々な影響についてのモデル化についての基礎的検討を行い、1)2)から明らかになる物理的被害量、さらに3)復旧期間のシミュレーション結果を基に、長期湛水被害が地域における社会影響評価手法についての検討を行った。 5)「長期湛水被害」の防災戦略の構築:近年発生した事例、さらには過去の日本の事例の整理・分析を行い、「長期湛水被害」における災害対応戦略の構築についての検討を行った。また、南海トラフ地震時の地盤沈降・湛水被害について地域の防災対策についての基礎的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)地盤沈降に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発については、東日本大震災の津波浸水も含めた総合的な浸水についての分析を実施しており、その関係で南海トラフでの実際のシミュレーションについては基礎的検討に留まっている。 2)津波・高潮災害に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発については、東日本大震災の実被害をもとに都市施設に与える被害シミュレーション手法の開発を行っており、順調に進展している。 3)「長期湛水被害」後の「復旧期間」の推定手法の構築については、東日本大震災のライフライン被害、特に上下水道施設の被害と復旧についての検討を行っており、順調に進展している。 4)「長期湛水被害」時の社会影響評価手法の開発については特にハリケーンカトリーナ後の住宅再建を中心とした分析をもとに分析を行っており、東日本大震災の事例も含めた検討を行っており順調に進展している。 5)「長期湛水被害」の防災戦略の構築については、東日本大震災の復興の教訓を踏まえた事前復興を防災戦略の柱とした検討を行っており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)地盤沈降に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発:東日本大震災の事例検討を引き続き実施し、伊豆半島~日向灘も含む断層モデルも考慮した南海トラフ地震による地盤隆起・沈降シミュレ-ションを行う。 2)津波・高潮災害に伴う「長期湛水被害」の推定手法の開発:東日本大震災の事例検討を引き続き実施し、津波・高潮が与える都市施設の物理的被害シュミレーションの基本的な開発を行う。 3)「長期湛水被害」後の「復旧期間」の推定手法の構築:東日本大震災の事例検討にもとづき、被害量・復旧資源量にもとづく長期湛水被害発生時の復旧期間のシミュレーション手法の開発を行う。 4)「長期湛水被害」時の社会影響評価手法の開発:東日本大震災、2011年タイ水害の復興プロセスの検討にもとづき、津波被害・長期湛水被害が与える社会への長期的影響についての評価手法の開発を行う。 5)「長期湛水被害」の防災戦略の構築:2004 年インド洋地震津波災害における地盤沈降被害を受けたインドネシア・アチェ州、2005 年ハリケーン・カトリーナ災害後のニューオリンズによる高潮災害という近年発生した事例、さらには過去の日本の事例の整理・分析結果に基づき、「長期湛水被害」における災害対応、復旧・復興戦略の開発を行い、実社会への導入手法に ついての検討を行う。
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Research Products
(18 results)