2011 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア細胞定常状態における細胞死に機能する遺伝子ネットワーク解析
Project/Area Number |
22241050
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森 浩禎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90182203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 守 山口大学, 医学(系)研究科, 教授 (30174741)
松野 浩嗣 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10181744)
牧 泰史 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60401733)
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Keywords | 大腸菌 / 定常期 / bar code欠失株 / クラスター解析 |
Research Abstract |
バクテリアの自然界における生育の大半は定常期であると考えられる。定常期の細胞代謝は対数増殖期とは大きく異なり、対数増殖期に蓄積した増殖阻害物質や栄養源枯渇などのストレスに対処し、生存を可能にしていると考えられる。我々は、全遺伝子の単一遺伝子欠失株、ORF クローンライブラリーを開発してきた実績を踏まえ、新たに多重欠失及び欠失株ライブラリーの混合培養解析を目的に、bar code(特定の塩基配列を導入)欠失株ライブラリーの開発に着手し構築を終えた。混合培養による長期定常状態での各遺伝子欠失株のpopulation変動を、次世代型シーケンサーでbar code領域を読むことで定量し、定常期に不利・有利に働く各遺伝子探索を行う準備を進めてきた。昨年度は構築した欠失候補株の選別、bar code配列の読み取りと及びライブラリーの並び替えを行い、最初の全欠失株ライブラリーの混合培養による長期定常期培養における初めてのbar code解析を行った。得られたpopulation変動パターンの解析を行った結果、これまで見ることができなかった特定の遺伝子欠失株の培養中の変動を定量的に解析することが可能であることを確認できた。それらの中には、培養中に急激に増加し、そのまま維持する遺伝子欠失株や、一時的に増殖し、その後急速に減少する欠失株など、これまで見ることができなかった解析を可能にすることができたと考えている。一方で、培養中のDNA量とコロニー形成能を持つ菌体数とのずれの存在などの問題点も明らかになってきている。この問題に関しても、bar code株を利用した、長期定常期培養後のbar code株を新たな培地に移し、再生育させpopulation解析を行うことで、新たな展開が期待できる。特徴のある生育パターンを示す遺伝子群の統計的手法と遺伝子機能データベースを用いた解析を現在進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大腸菌全予測遺伝子約4000の20塩基のbar codeを導入した新規欠失株候補群からの選別を終え、全てのbar code配列の決定を行ない、新規ライブラリーとして並べ替えを行った。混合競合培養を可能にするため、全ての株を独立に一晩培養を行い、等量を混合した培養液の作製を行った。この新規欠失株は新たなリソースとしても広く公開を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Bar code新規大腸菌一遺伝子欠失株ライブラリーの完成とbar codeを利用した、これまで不可能であった長期定常期における各欠失株の生育変動パターン解析を行うことが可能であることを示すことができた。今後は、当初の目標通り、長期定常期における各遺伝子の細胞内機能ネットワークの解明を進める。
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Research Products
(5 results)