2012 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア農山漁村の生業転換と持続型生存基盤の再構築
Project/Area Number |
22241058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80183804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 耕司 京都大学, 地域研究統合情報センター, 名誉教授 (10026619)
小林 知 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (20452287)
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
石川 智士 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (40433908)
山尾 政博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 東南アジア / 農山漁村 / 持続型生存基盤 / 生業転換 / ラオス / カンボジア / タイ / 生態資源 |
Research Abstract |
本研究は、今日の人類社会が普遍的な規範とする生産の効率化という発想の相対化と自然環境の変動や不確実性のもとでいかに生存するかという発想の強化を目指す持続型生存基盤パラダイムのもと、東南アジア農山漁村における持続型生存基盤とは何かという問いに答えようとするものである。そのために、東南アジア農山漁村で進行している生業転換における技術導入や市場拡大に着目して、水や熱の不確実だが安定した循環や自然生態系の再生力を活用した地域社会レベルの技術革新を解明し、東南アジア農山漁村の持続型生存基盤を再構築するための方向性を提示するとともに、地域研究と科学技術研究のさらなる融合を目指す。 平成24年度は、タイとカンボジアで合同ワークショップを開催するとともに、東南アジア諸地域でのフィールドワークを実施した。また中間報告会を開催するとともに、カンボジアにおいて現地セミナーを実施した。主たる成果は、1)ラオス-中国国境域では、中国の巨大な国内市場向けの商品作物栽培の導入が生業転換の主たるドライバーとなっていること、しかし、中国側とラオス側では農家の対応が大きく異なり、中国側では急激な栽培作物の変化とそれによる生業転換が進行しているのに対して、ラオス側での栽培作物の変化は緩慢であり、生業転換と呼べる状況には至っていないこと、この違いは直接的には国境交易の制度的な制限に起因するが、より重要なことは、土地所有の制度化と実効化における両国の違いであることを指摘することができた。2)カンボジア・トンレサップ湖周辺地域では、コメの商品作物化やキャッサバ栽培の導入、さらにプノンペン周辺やタイへの出稼ぎが生業転換の主たるドライバーとなっていること、しかしそこには、アクセス可能な生態資源(土地や用水)の違いや民族間格差(クメールとチャム)が生む生業転換の多様性がみられることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ラオスやカンボジアでフィールドワークを実施し、その成果を論文31編(うち査読付き17編)、図書1冊にまとめた。研究代表者、分担者、協力者が連携して、生業転換と持続型生存基盤の再構築に関する知見を深めており、おおむね当初の計画通り、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ラオス・中国国境域の盆地-山地複合生態系、カンボジア・トンレサップ湖周辺の内陸低湿地生態系、タイ東部の沿岸域生態系における生業転換に関して、これまでの研究成果の取りまとめに取り組む。そのため、必要に応じて、補足的なフィールドワークを実施するとともに、現地研究者と研究成果を共有するために、タイとカンボジアにおいて、ワークショップを開催する。研究成果は、学術雑誌論文として、順次公表する。
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Research Products
(48 results)
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[Journal Article] Vegetation and plant use differences between a secondary forest and an Eucalyptus plantation site in Bolikhamxay province, Laos2012
Author(s)
Umemura, M., Aoyama, C., Tokumoto, Y., Abe, K., Hirota, I., and Yokoyama, S.
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Journal Title
Lao Journal of Agriculture and Forestry
Volume: 27
Pages: 88-109
Peer Reviewed
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