2011 Fiscal Year Annual Research Report
西日本における古代窯業生産の研究-邑久窯跡群を中心に-
Project/Area Number |
22242026
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
亀田 修一 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (10140485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 純 岡山理科大学, 総合情報学部, 准教授 (70434983)
徳澤 啓一 岡山理科大学, 総合情報学部, 准教授 (90388918)
鳥居 雅之 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (60108983)
波田 善夫 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (00098592)
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Keywords | 考古学 / 須恵器 / 胎土分析 / 考古地磁気 / 植生 |
Research Abstract |
邑久窯跡群は中四国最大の須恵器窯跡群である。しかし窯構造はよくわかっておらず、遺物研究も不十分である。そのため本研究では地元教育委員会の協力を得て、窯跡を選択的に発掘調査し、考古学的情報を入手することを第一の目的としている。 そこで平成22年度に備前市佐山新池窯跡群の発掘調査に着手し、平成23年3月までに4回の調査を行った。その結果、邑久窯跡群において初めての8世紀後半の1号窯跡を確認でき、まず成果を上げることができた。窯構造については、道路との関係で全貌は明らかにしえなかったが、全長4m以上、最大幅2.6mの半地下式登窯であること、窯は少なくとも1回、大幅に縮小改窯されていることなどが確認できた。 23年度の遺物は、杯、皿、盤、平瓶、長頸壷、薬壷形壺、こね鉢、甑、甕、窯壁などがパンケース約40箱分出土している。その中にはこの時期には珍しいかえりを有する輪状つまみ杯蓋や多孔甑などが含まれており、律令期須恵器の地域色の検討に役立つ成果を上げることができた。今後日本列島内の窯資料だけでなく、朝鮮半島の関連資料についても検討したいと考えている。 自然科学的手法による調査において、胎土分析では、今後詳細な検討は必要であるが、この地域の製品が備前国の官衙関連遺跡に運ばれていることが推測できた。考古地磁気分析では、8世紀後半の年代が出され、考古資料と基本的に合致することが確認でき、さらなる検討を進める予定である。これらの結果はいずれもそれぞれの研究を進める上に、重要な成果であると考えられる。植生調査は現在検討中である。 このように本研究による研究期間の半分が過ぎ、邑久窯跡群内の窯構造・遺物に関して、これまで空白状態であった8世紀後半の資料の概要を把握でき、当初の目的の約半分は達成できたものと考えている。 24年度以降はこれらの成果を踏まえ、10世紀頃の窯跡を新たに調査し、検討を進めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「9.研究実績の概要」にも述べたように、この2年間で当初の目的であった8世紀後半の窯を発見・発掘調査することができ、窯構造・遺物を検討できた。これは大きな成果である。24年度以降の調査によって10世紀頃の窯跡が確認・調査できれば、本研究の大きな目的の一つである邑久窯跡群から備前焼窯跡群への展開を検討できるからである。以上のような点で、本研究は現時点でおおむね順調に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで述べてきたように、本研究は基本的に順調に進展していると考えている。 今後は10世紀頃の新たな窯跡を発掘調査し、その窯構造・遺物などについて、これまでと同じように、考古学、それに関わる自然科学的手法を用いて検討していくことになる。それによって本研究の目的が達成できるものと考えている。 地元の教育委員会の方々、郷土史家の方々、地主さんたちの協力も得ることができており、当初の予定通り、本研究を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(9 results)