2012 Fiscal Year Annual Research Report
西日本における古代窯業生産の研究-邑久窯跡群を中心に-
Project/Area Number |
22242026
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
亀田 修一 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (10140485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 純 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (70434983)
徳澤 啓一 岡山理科大学, 総合情報学部, 准教授 (90388918)
波田 善夫 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (00098592)
畠山 唯達 岡山理科大学, 付置研究所, 准教授 (80368612)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 須恵器 / 胎土分析 / 考古地磁気 / 植生 |
Research Abstract |
邑久窯跡群は中四国最大の須恵器窯跡群である。しかし窯構造はよくわかっておらず、遺物研究も不十分である。そのため本研究では窯跡を選択的に発掘調査し、考古学的情報を入手することを第一の目的としている。 そこで平成22年度から備前市佐山新池窯跡群の発掘調査を開始し、邑久窯跡群において初めて8世紀後半の新池1号窯跡を確認できた。24年度に入り、同じ佐山地区の佐山東山窯跡群の発掘調査を開始した。8月の第1次調査では岡山県内で初めて10世紀の東山奥窯跡を確認し、さらに3月の第2次調査において8世紀後半~9世紀初めころの東山窯跡を確認した。前者の東山奥窯跡は半地下式登窯で斜面長約5m、幅1.76mで、床面などの改修は確認できなかった。遺物は基本的に須恵器で、杯、椀、双耳壺、甕などがあり、風字硯も出土している。後者の東山窯跡はいまだ調査途中で規模などは確認できていないが、大幅改修の可能性が推測された。遺物は前述の新池1号窯跡よりも少し新しい時期の杯、皿類が出土している。前者の東山奥窯跡の調査は完了し、後者の東山窯跡は平成25年8月の最後の調査でその全体像を確認したいと考えている。 自然科学的手法による調査において、胎土分析では、佐山新池窯跡群の製品が備前各地に供給されたことが推測できている。考古地磁気分析の年代測定は、おおよそうまくいっている。一方、発掘調査以前に東山地区の2基の窯跡について磁気探査を行ったが、とてもうまくいき、考古学の成果と合致した。この成果はきわめて重要である。植生調査については現在試料を検討中である。 このように本研究の研究期間の3/4が過ぎ、当初目的とした邑久窯跡群から備前焼窯跡群への空白を埋める窯跡の調査はうまくいっており、大きな成果を上げたといえる。8月に東山窯跡の追加調査を行い、3月に最終報告書を刊行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の「9.研究実績の概要」にも述べたように、この3年間で当初の目的であった邑久窯跡群から備前焼窯跡群への窯跡調査の空白時期である8世紀~11世紀の窯跡のうち、8世紀後半の佐山新池1号窯跡、10世紀の佐山東山奥窯跡を発掘調査でき、窯構造・遺物の検討ができるようになった。そして平成25年3月から、8世紀後半~9世紀初め頃の佐山東山窯跡の調査を開始した。このようにいまだ完全には空白は埋めきれていないが、当初目的とした時期の窯跡を発掘調査でき、本研究の目的の大部分は達成できたのではないかと思っている。 今後、課題として残った9世紀と11世紀の窯跡については、改めて科学研究費を申請し、さらに調査を進めていきたい。 以上のように、今回の研究課題に関してはおおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで述べてきたように、本研究は順調に進展していると考えている。 今年度は新たに着手した佐山東山窯跡の追加調査をし、考古学的な成果と自然科学的な成果を総合的にまとめ、最終報告書を刊行することになる。 前述のように、当初目的とした邑久窯跡群から備前焼窯跡群への展開過程の検討のうち、かなりの部分をこの3年間で達成することができ、大きな成果であったと考えている。ただ、新たな課題として残った9世紀、11世紀の窯跡については、地元の教育委員会の方々、郷土史家の方々、地主さんたちなどの協力を得ながら、改めて科学研究費を申請して、さらに追求していきたいと考えている。
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Research Products
(11 results)