2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融リスクの計量化と統計的推測に関わる諸問題の解明
Project/Area Number |
22243021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大屋 幸輔 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (20233281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 敏明 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90254135)
谷川 寧彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (60163622)
大西 匡光 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (10160566)
生方 雅人 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (00467507)
石田 功 大阪大学, 金融保険教育研究センター, 特任講師 (20361579)
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Keywords | 計量ファイナンス / リスク管理 / ボラティリティ |
Research Abstract |
「金融リスク指標の開発」に関しては,資産価格に関する2次モーメントでもあるモデルフリーインプライドボラティリティだけでなく,3次モーメントの情報を利用した指標の開発に着手し,いずれもモデルフリーである,インプライド歪度やインプライドレバレッジがどのようにリスクを捉えるかに関して研究を進めている。「金融リスク指標の予測モデル構築」に関しては,日次リターンと実現ボラティリティを同時にモデル化するRealized GARCHモデルがValue-at-Risk (VaR)や期待ショートフォール(ES)で有用であることが示された。VaRやESは金融実務でリスク管理に使われているため,この結果は金融実務の観点からも重要である。またボラティリティリスクプレミアムが,将来の株価収益率やクレジットスプレッド等に対して予測力を持つか否かについて検証をおこなった。さらにCEV型連続時間ボラティリティ変動モデルを日経平均のボラティリティの日次データを用いて推定し,実務で利用される機会の多いHestonモデルが棄却され,GARCH拡散過程モデルを支持する結果を得ている。「金融リスクに対する選好の推測」に関しては,モデルフリーのインプライドボラティリティの推測に用いる手法を応用することで,投資主体のリスク回避性を推定する方法に関して研究を推し進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融リスク指標の開発,金融リスク指標の予測モデル構築に関しては,研究成果を学術雑誌へ掲載する段階まで進展しており,金融リスクに対する選好の推測に関しても,研究会,学会で発表する段階まで達していることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究成果を出し始めており,現段階で研究計画の変更や遂行上の問題点はない。最終年度である次年度は,平成22, 23年度の研究成果をさらに進展させ,新しい金融リスク指標の提案,より精度の高い予測モデル構築を目指す。またリスクの選好の推測に関しては,現実の市場データによる推測を行う予定である。
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