2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22243026
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡部 敏明 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90254135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩路 悦朗 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50301180)
浅子 和美 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60134194)
渡辺 努 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90313444)
福重 元嗣 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10208936)
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Keywords | DSGE / 可変パラメータVAR / 金融政策 / リーマンショック / ゼロ金利 / MCMC / ベイズ推定 / マクロ経済 |
Research Abstract |
平成23年度は時変係数VARモデルを用いた研究において、特に大きな進展を見た。まず、渡部が、Journal Of the Japanese and International Economiesに掲載された論文において、このモデルを日本のマクロデータに初めて応用し、係数、同時点の相関行列、誤差項の分散をすべて可変にしたモデルが最も当てはまりが良いことを示すと共に、日銀の金融政策の効果や様々なショックのマクロ変数への影響の時期による違いを明らかにした。この論文のモデルと推定法は日銀で様々な分析に応用されている。また、渡部は、時変VARモデルの識別制約まで統計的に選択する方法を提案し、台中で開催されたInternational Workshop on Statistical Computing in Quantitative Finance and Biostatistics:A Satellite Meeting for the 7th IASC-ARS Conferenceの基調講演を始めいくつかの国際学会で報告した。次に、塩路が、日本の公的投資が国内総生産や民間投資に与える影響について時変係数VARモデルを用いて分析を行い、米国デューク大学のセミナーで報告した。 本研究のもう一つの柱であるDSGEモデルに関しては、渡部が、浅子・渡部編著『ファイナンス・景気循環の計量分析』に掲載された論文において、DSGEモデルとDSGE-VARモデルを日本のマクロデータに応用した。 その他、塩路は、リーマンショック時において日本の生産・輸出に起きた構造変化に関する論文を全面改訂したうえで英文化し、コロンビア大学でのセミナーで報告した。渡辺は、ゼロ金利下における長期デフレの原因、物価計測誤差、金融政策の効果などの研究、中央銀行の外為介入が為替相場に及ぼす影響や,量的緩和期における介入と金融政策の関係などの研究、不動産バブルの早期検出方法の研究を行った。浅子と福重は投資関数の研究を行った。 連携研究者の各務は、「地域間所得分布と所得収束仮説」では,所得収束仮説が確認できないことを明らかにした。この結果は地域毎に経済は異なる状態にあり,マクロ金融政策が地域にあたえる影響は地域毎に異なる可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DSGEモデルやDSGE-VARモデルに関する研究が若干遅れているが、VARモデルに関する研究は計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遅れているDSGEモデルやDSGE-VARモデルに関する研究を進める。また、平成24年度は最終年度なので、年度後半に海外からこの分野の著名な研究者を招聘し、そこで研究成果を報告し、コメントをもらう。そのコメントに従って論文を改訂し、査読付き学術誌への掲載を目指す。
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Research Products
(30 results)