2013 Fiscal Year Annual Research Report
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22244002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川又 雄二郎 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (90126037)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 収縮写像 / 重み付き射影空間 / 商スタック / 導来圏 / 相対的例外対象 / 半直交分解 / 非可換変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元代数多様体の因子収縮写像による導来圏の変化を調べる過程で、重みつき射影空間の導来圏の構造を調べることが必要になった。n次元の重みつき射影空間 P(a0,…,an) は射影空間のアーベル群による商スタックと考えることができるが、このスタックは滑らかであるので、作用の仕方によってa0+…+an個または n+1個の例外対象からなる充満例外列を持つことが以前の研究からわかっていた。一方、重みつき射影空間を特異点つきの代数多様体であると考えると、ホモロジー次元が無限大になってしまうので、導来圏はよい構造を持たないと考えていた。ところが、階数1の反射層を非可換変形して高い階数の局所自由層を構成できる場合があることに気がついた。こうして得られた局所自由層は例外対象ではないが、アルチン環上の相対的例外対象となることがわかった。アルチン環が無限小構造を持つためホモロジー次元は無限大になるが、見方を変えれば滑らかな場合と同様になることがわかった。そして通常の例外対象と同様に導来圏の半直交分解を導くことがわかった。重み付き射影空間が因子収縮写像の例外因子である場合には、この局所自由層は全空間上の局所自由層に延長され、相対的な球面対象になり、相対的な球面ねじれ関手を導くこともわかった。 一般に、単純層の自己拡大の列は常に非可換変形としてとらえられることを証明し、形式的な普遍自己拡大が形式的な普遍非可換変形と一致することがわかった。こうして層の無限小変形では、非可換変形の方がむしろ自然であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホモロジー次元が無限大であって飽和ではないような導来圏に対しても、相対的な例外対象を考えることによって半直交分解による研究ができることがわかった。これはまだ萌芽的な研究であるが新しい見方であり将来につながるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
非可換変形にマッカイ対応などの導来同値を組み合わせて、導来圏の中で対象の非可換変形を考えることにより、高次元でのフロップへの応用などが考えられる。
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