2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舟木 直久 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60112174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 保成 神戸大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60112075)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
長田 博文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20177207)
乙部 厳己 信州大学, 理学部, 准教授 (30334882)
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Keywords | 確率論 / 解析学 / 統計力学 / 数理物理 / 関数方程式論 / 応用数学 |
Research Abstract |
大規模相互作用系とは、巨視的に観測される様々な現象を微視的レベルから解析し理解するために導入される数理モデルの総称である。対象とする系は、一般に莫大な量の自由度を有する。以下、本年度の研究実績からいくつか具体的に述べる。 1.代表者の舟木は、Otto,Villaniらによる解析的手法を応用して、凸ポテンシャルを持つ∇φ界面モデルの流体力学極限を示した。Gibbs分布の長距離相関が問題を困難にする。さらに、一様統計および制限付き一様統計に対応する2次元Young図形の運動について、以前示した流体力学極限の周りの非平衡揺動問題を論じ、極限の線形確率偏微分方程式を求めた。また、その不変測度が、平衡系における揺動極限として現れるGauss測度と一致することを示した。 2.分担者の樋口は、2次元Ising modelのパーコレーションについて、臨界磁場近辺におけるRussoの公式を証明した。適用できる集合に条件は付くが、arm eventsには適用可能であることを確認した。 3.神経パルスの伝播は細胞の3次元構造を考慮すると細胞膜上の擬微分方程式で記述される。分担者の俣野は、作用素の擬正値性という概念を導入することにより、細胞が有限の大きさを持つ場合について解の一様有界性を示した。また、大域アトラクターの性質について調べた。 4.分担者の長田は、Ginibre点過程のPalm測度について、条件付けた粒子の個数が等しいときにはPalm測度が互いに絶対連続であり、そうでないときは、特異になるという結果を示した。 5.分担者の乙部は、確率論の手法を用いた量子力学系の再帰性についての研究を行い、それがエルゴード的となる条件を求めた。また、雑音の影響を受けた線形輸送方程式に対する逆問題の定式化と解の存在およびその収束の速度に関する評価を得た。
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Research Products
(16 results)