2012 Fiscal Year Annual Research Report
微分方程式論からみた生物のパターン形成―分析から総合へ
Project/Area Number |
22244010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 泉 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40154744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 卓克 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20224107)
池田 榮雄 富山大学, 理工学研究部, 教授 (60115128)
長澤 壯之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70202223)
柳田 英二 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80174548)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反応拡散方程式系 / パターン形成 / 特異摂動解 / 非等方的非一様場 / 幾何学的汎函数 |
Research Abstract |
今年度,拡散誘導不安定化を提唱したTuringの論文の出版60周年を記念して,Turing Symposium on Morphogenesis を仙台市国際センターで開催した(高木と柳田が担当).反応拡散系によるパターン形成の研究の第一人者が多数集まり,60年を振り返るとともに,今後の研究の方向性を明らかにすることができた. 理論的側面としては,小川はゲージ不変性をもたない非線型Schroedinger方程式に対する初期値問題が非適切となるような函数空間が存在することを明らかにした.また,柳田は,ある種の非線型放物型偏微分方程式に対し,滑らかなホモクリニック軌道の極限としては捉えられない特異ホモクリニック軌道の存在を示した. 幾何学的側面としては,長澤は,n次元閉超曲面の平均曲率の平方積分として定義される汎函数を表面積とそれが囲む体積が一定という制約条件下での勾配流の存在を証明した.連携研究者の岡部真也は,曲率の平方積分の勾配流によって運動が支配される平面内の開曲線の挙動を明らかにした.また,連携研究者の山田澄生は,位相的曲面上に定義される共形構造からなるタイヒミューラ空間の新しい助変数表示に関する研究を進めた. 反応拡散系に関して,池田は,三成分系の空間一次元定常パルス解の存在とその安定性を明らかにした.連携研究者の上山大信はシミュレーション等に用いるメッシュの新しい生成法を提唱した.連携研究者の中島主恵は,集団遺伝学に現れる反応拡散方程式について,空間一次元の場合の定常解の一意性を証明した.高木は,研究協力者の山本宏子と共に,変数係数の反応拡散方程式の特異摂動解の基底状態に現れる点凝集現象を研究し,凝集点の位置を特定する方法を発見した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は大震災の影響で実験設備が一時的に使えなくなったため,数理モデルと実験結果との照合に関する研究の達成度が低かった.平成24年度はその部分を繰越した部分と当初より平成24年度に実施を予定していたものを並行して取組むことになり,全体として8割程度を達成したと判断している.完全に挽回するまで,あと4ヶ月ほどかかるものと思われる. その他の研究は,概ね順調である.ただし,ネマトステラの蠕動のモデル化については,現時点までに作成したモデルは物理的裏付けが弱いため,専門家の協力を求める必要が出てきている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 分担者および連携研究者と研究支援者がより詳細な情報を共有し,有機的に連携するために全体会議を開く. (2) 数理モデルの物理的裏付けを固めるために,生物物理学や工学の分野の研究者の協力を仰ぐ. (3) 研究分担者や連携研究者間の情報共有ならびに情報発信のためにウェブサイトの充実を図る.
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Research Products
(32 results)