2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244034
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉川 徹 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 准主任研究員 (20333312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 友進 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50513454)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 宇宙線(実験) / ガス電子増幅フォイル / X線偏光計 |
Research Abstract |
共同研究者である米国航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター(NASA/GSFC)と共に開発した、ロケット実験に搭載するフライト用X線偏光計を用い、2013年4月に米国ブルックヘブン国立研究所の放射光施設において性能評価試験を実施した。偏光検出能力の限界を左右する系統誤差の調査を行うため、2.7~10 keV のエネルギースキャン、ドリフト距離(ビーム入射位置)のスキャンを行った。その結果、ドリフト距離が大きなほど電子ドリフト中の拡散が大きく、X線偏光検出能力が劣化することがわかった。また、モンテカルロシミュレーションを用いてこれらを補正する方法を開発し、系統誤差を最小限に抑えこむことに成功した。さらにシミュレーションと実験結果を詳細に比較することにより、時間方向と空間方向の電子拡散度合いが違うことからも系統誤差が生み出されることを突き止めた。GEMフォイルと読み出しストリップの間のギャップを減らすことで、この誤差も減少させられることを示した。これら一連の調査より判明した系統誤差を減らすため、フライトモデルの一部改造をおこない、エンジニアリングとしての製作手順等を確立した。 実験室で得られたX線偏光検出能力を元に、ロケット実験でカニ星雲を観測した場合の詳細な検討を行い、400秒の観測でカニ星雲からのX線偏光は十分な感度で受けることができ、その中心にあるカニパルサーからのX線偏光を回転フェーズに分けて観測するには、偏光度が80%以上必要なことがわかった。観測検討とモンテカルロシミュレーションの詳細については、COSPAR 2012 において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本側の担当である検出器準備状況は予定通り完了している。また、米国側の主担当であった検出器の放射光における試験等も、日本側が主体的に引き受ける等の協力をし、スケジュール改善に努めてきた。米国側のロケット準備状況は遅れているが、この部分は米国の国内事情によるものであり、日本側が直接関与することはできない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きフライトモデルの高度化と性能評価を行いつつ、いつでも打ち上げが可能な状況を維持する。NASAに継続して提案を行いロケット実験の早期実施を探るとともに、米国の国内事情に左右されないよう、日本国内で独自の偏光計を立ち上げることを目指す。
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