2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島野 亮 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40262042)
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Keywords | 半導体 / 電子正孔液滴 / 電子正孔BCS状態 / 励起子 / ボースアインシュタイン凝縮 / テラヘルツ分光 |
Research Abstract |
1)間接遷移型半導体Siを対象に、低温下にある試料中に光励起された電子正孔系の冷却ダイナミクスをテラヘルツ分光法により調べた。光励起直後から4nsまでの時間領域で時々刻々変化する光学伝導度及び誘電率スペクトルを計測し、スペクトル解析から電子系の過渡的な温度変化、即ち、冷却ダイナミクスを決定した。電子と正孔それぞれのバンド内及びバンド間フォノン散乱過程を考慮した数値シミュレーションを行い、実験で観測された電子冷却ダイナミクスを完全に再現することに成功した。この結果から、格子温度1.5Kの場合、光励起後から約2nsで電子系の温度は格子温度に到達することがわかった。2)励起子BEC及び電子正孔BCS状態の発現にとって阻害要因となる電子正孔液滴の形成を抑制するために、圧力印加によるバンド縮重の低減を目指した。圧力アンビルセルを自作し、1軸性圧力下での光ポンプテラヘルツ分光システムを開発した。圧力印加によるバンド縮重の低減を反映して電子正孔液滴の転移温度が低下したことを発光測定により確認し、同条件下での光ポンプテラヘルツプローブ分光測定を進めた。3)励起子の縮重度を低減しBECの転移温度を上昇させるために、磁場によるスピン縮重度の解消を目指した。発光測定の結果、低温強磁場下で自由励起子発光強度が大きく減少することを見出し、スピン禁制励起子状態への蓄積効果を示唆する結果を得た。この「見えない」励起子を観測するために、磁場下光ポンプテラヘルツ分光測定系を開発し、励起子内部遷移(1s-2p遷移)による可視化を行った。低温下で先鋭化する励起子微細構造を分光するために、磁場下テラヘルツ分光の広帯域化、高周波数分解能化を進め、中心周波数3THzで50GHzの周波数分解能を達成した。この結果、励起子ゼーマン分裂と反磁性シフトを明瞭に観測することに成功した。
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Research Products
(19 results)