2010 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴非弾性X線散乱による電荷の時間空間相関の研究―強相関電子系を中心にして―
Project/Area Number |
22244038
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水木 純一郎 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90354977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊川 秀訓 財団法人高輝度光科学研究センター, 制御・情報部門・ステーション制御チーム, 主幹研究員 (60344397)
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
筒井 健二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (80291011)
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Keywords | 強相関電子 / 共鳴非弾性X線散乱 / 遷移金属酸化物 / 放射光X線 / 超伝導 |
Research Abstract |
これまで3d遷移金属酸化物を対象に行っていたRIXSを5d遷移金属であるIrの酸化物を対象としたRIXS実験として開始した。この系は、スピン-軌道相互作用が大きく、これが原因でモット・ギャップを超える励起の運動量依存性が小さいといった特徴をRIXSによって明らかにした。 また、RIXSの高エネルギー分解能化で重要な検出器開発に関しては、EIGER検出器用読み出し集積回路素子(ピクセルサイズ75ミクロン、ピクセル数256×256)を1素子搭載したプロトタイプ検出器に実際にX線を照射し、シリコンセンサーの感度特性、回路の閾値機能のテスト、時間応用特性などの基本特性の評価を行った。また、本研究で実機として用いる4素子搭載型検出器(有感面積2cm×8cm、ピクセル数256×1024)の設計を完了した。 その他に、1.RIXS実験および中性子非弾性散乱実験に用いる銅酸化物超伝導体と金属反強磁性体の単結晶を育成した。2.銅酸化物超伝導体における磁性不純物が磁性と伝導に及ぼす効果を、RIXS・偏極中性子散乱・μSR・XAFSといった量子ビームを使って調査した。銅酸化物超伝導オーバードープ相において、磁性Fe不純物が磁気相関・電気伝導に及ぼす効果をFe濃度を系統的に変化させて調査した。3.Fe置換と共に格子非整合磁気相関が誘起されるが、それは金属におけるRKKY相互作用の発現として理解できる。アンダードープ相に特徴的なストライプ秩序での磁性不純物効果と質的に異なることから、ホールキャリアの局在性・遍歴性がホールドープレベルによって大きく変化していることが推察される。4.RIXSの理論分野での成果として、梯子格子銅酸化物Sr_<14>Cu_<24>O_<41>に対するバンド内励起に対応する共鳴非弾性X線散乱スペクトル強度が温度とともに減少するのは、梯子格子上の運動できるホールが減少しているためであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)