2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244047
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
稲見 俊哉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (30354989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康弘 東京大学, 物性研究所, 准教授 (10292757)
岡本 淳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任助教 (50555258)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | パルス磁場 / X線吸収分光 / 価数転移 / メタ磁性転移 / 価数揺動 |
Research Abstract |
本研究計画では、極低温・強磁場下で起こる量子相転移・量子臨界点近傍の秩序変数・電子状態を放射光X線を利用した微視的な研究手法を用いて実験的に解明することを目的とする。我々はこれまで、X線回折法・X線吸収分光法とパルス強磁場を融合し、強磁場下での磁気構造決定や価数選別磁化測定等、様々な成果を挙げて来た。本研究では、これまでの硬X線を用いた回折・吸収実験の高精度化・高感度化を図るとともに、新たに軟X線領域でのX線吸収分光法を開発し、3d・4f電子の直接観測を目指す。 H24年度は軟X線実験に注力して研究を進め、H23年度に納入された吸収分光装置の立ち上げを行った。まず、マグネットの冷却試験と励磁試験を行い、冷却できること、真空漏れのないこと、20Tまでの磁場発生ができること、励磁後のマグネットは5分程度で完全に冷却できることを確認した。続いてテスト試料(Ni)を用いて全電流検出法でパルス磁場下での測定が可能かどうかを調べ、放射光の強度揺らぎは十分小さく、また検出系の電気ノイズは解決できるレベルであることを確認した。しかし、ここで、励磁による振動が測定上大きな問題であることが明らかになり、振動低減のための対策を施した。この結果、次の本試料(YbInCu4)を用いた実験では、試料を冷却した状態で全電流法でX線吸収量を測定できること、振動の影響は大きいものの適当な差分をとることと繰り返し測定を行うことで実用的な時間内でパルス磁場印加時のX線吸収量の測定ができることが確認でき、次回の実験で本測定に進めることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
軟X線実験の実現については、当初計画ではH23年度中にテストサンプルを用いた動作試験までを終わらせる予定であったが、これがH24年度にずれこんでしまった。研究期間中に本測定まで持ち込むことができたので、研究計画全体への影響は大きくなく済んだ。 これに対し、硬X線実験の高度化については、要となる急冷マグネットの製作の目処がついておらず、研究期間中に本測定に進める見込みがなくなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は全体的に遅れており、また、技術的な問題に直面している。軟X線実験については予定より1年遅れの状況であるが、H25年度前半に本測定を行う予定になっており、研究計画自体変更はない。これに対し硬X線実験の高度化については、急冷マグネットの製作について目処が立っておらず、研究期間中に本測定に進める見込みはほぼなくなっている。人的資源を考えると軟X線実験に注力し、少しでも成果をあげる方向で検討している。
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Research Products
(7 results)