2010 Fiscal Year Annual Research Report
ベシクル変形と化学場の結合:生命誕生へのソフトマターからのアプローチ
Project/Area Number |
22244053
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
今井 正幸 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (60251485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 直人 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (50314795)
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Keywords | Minimal Cell / ベシクル / 自己生産 / 自発曲率 / 相分離 / 分裂 / ドメインダイナミクズ / シミュレーション |
Research Abstract |
生命体がその生命性を発現する為の機能(例えば代謝・増殖など)は生命体を形作る膜構造の変形によって維持されている事が知られている。現代の細胞では、この様な変形は膜と蛋白質の複雑な相互作用により制御されているが、前駆生命段階では比較的単純な物理によりその機能が発現されていたと考えられ、そのような細胞をminimal cellと呼ばれている。本研究ではそのminimal cellの持つ生命としての最小限の機能である自己生産を簡単な2成分モデルベシクル系で再現する事に成功した。 脂質の頭部が小さなエタノールアミン基であるPE脂質とシリンダー型脂質からなる2成分ベシクルでは、温度の上げ下げによりベシクル内に子ベシクルを形成した後、膜を通して外側へ放出する自己増殖型ベシクルの一つである自己誕生型ベシクルができる事がわかった。さらにPE脂質の量を制御させるともう一つの自己増殖型ベシクルである自己分裂型の経路も再現する事が明らかとなった。今後は、さらに生命系へと繋げる為に化学反応系をも含めたソフトマターの秩序形成系の非平衡物理の解明を目指す事が必要であると考え研究を進めている。
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Research Products
(14 results)