2010 Fiscal Year Annual Research Report
2機の金星探査機による相補的観測データを用いた金星大気循環の解明
Project/Area Number |
22244060
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中村 正人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20227937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 征弘 東京大学, 理学系研究科, 助教 (00323494)
今村 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40311170)
はしもと じょーじ 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10372658)
山本 勝 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
大月 祥子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (90523291)
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Keywords | 金星 / 大気 |
Research Abstract |
金星探査機「あかつき」は2010年12月に金星周回軌道投入に失敗したが、2015年に改めて軌道投入する予定である。この将来の観測に向けた課題の洗い出しと、代替手段による研究推進のために、欧州の金星探査機Venus Expressに加えて地上望遠鏡や数値シミュレーションにより以下を実施した。 Venus Express搭載VMCによる紫外線画像を用いて,金星の雲の測光関数(反射率の太陽天頂角・射出角・位相角に対する依存性)を求めた。測光関数は大気の光学観測により物理的な情報を抽出する際に必須のものであり、「あかつき」の観測データの処理に活用される予定である。VMCによる画像を用いて、雲の移動を追跡することにより風速ベクトルを推定するための自動化された雲追跡システムも開発した。また、Venus Express搭載SOIRによる分光観測データを用いて、エアロゾルの光学的厚さの緯度分布と時間変動を明らかにし、この結果から雲の生成・維持過程の理解を進めた。 大型望遠鏡により近赤外での分光観測を行い、二酸化炭素による吸収バンドを分析することにより雲頂高度の時空間変動を初めて明らかにした。ここから雲の模様の回転周期や、赤道ケルビン波と思われる惑星スケールの波動の水平構造を求め、平均流と波動の相互作用について議論した。 金星大気大循環の数値シミュレーションに必要な精密な放射輸送モデルを開発した。これを採用した高解像度大気大循環モデルを用いて、金星雲層付近の力学的不安定を考察した。金星上層大気(中間圏・熱圏)の大気大循環モデルも構築し、下層から上方伝播する惑星規模波動の影響を明らかにした。
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Research Products
(9 results)