2011 Fiscal Year Annual Research Report
2機の金星探査機による相補的観測データを用いた金星大気物質循環の解明
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22244060
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
中村 正人 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20227937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 佳久 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60134772)
高木 征弘 東京大学, 理学系研究科, 助教 (00323494)
今村 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40311170)
はしもと じょーじ 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10372658)
山本 勝 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (10314551)
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Keywords | 金星 / 大気 |
Research Abstract |
金星探査機「あかつき」は2015年に改めて金星周回軌道投入を行い、周回軌道からの観測を始める予定である。この観測に向けた課題の洗い出しと代替手段による研究推進のために以下を実施した。 巡航中の「あかつき」の4つの搭載カメラを用いて、1300万km程度の遠距離から金星の測光観測を実施した。紫外から赤外までの5波長で測光データを得て、反射率の太陽位相角依存性や周期的な時間変化をとらえ、雲層の物理化学的性質や時空間変動の情報を得た。IR1カメラによる波長0.90μmとのデータとIR2カメラによる波長2.02μmのデータを用いて、両者に整合するような金星雲モデルを構築し、雲粒子分布への制約を与えた。この雲モデルでは雲層上部に多くの大粒子が存在し、従来の知見を修正するものとなっている。 欧州の金星探査機Venus Expressに搭載された赤外線分光器SPICAVで得られた偏光観測データを用いて、金星の雲の微物理特性の研究を開始した。紫外カメラVMCのデータを用いた雲追跡アルゴリズムの研究も前年度に引き続き実施した。 金星探査機で観測された気象現象を再現し物理的な解釈を加えるために、金星の中層大気大循環モデルとマイクロスケール気象モデルを用いて数値実験を行った。金星の中層大気大循環モデルでは、超回転や様々な雲模様を再現した。マイクロスケール気象モデルでは、地表付近の対流構造やその輸送過程を明らかにした。 2012年の金星日面通過時に太陽観測衛星「ひので」から金星大気を観測し、太陽風中の多価イオンが金星の超高層大気中の中性粒子と電荷交換反応することにより発光するX線を捉えることを目指して、発光光量を見積もって観測方法を策定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的として挙げた、金星大気の物質循環解明のための探査機データの解析、地上望遠鏡による観測、数値シミュレーションのいずれもほぼ計画どおりに実施して、科学成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
探査機データの解析、地上望遠鏡による観測、数値シミュレーションを引き続き進めるとともに、全研究計画の後半に入ったことを念頭に置いて論文発表による成果公表に努める。
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Research Products
(19 results)