Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 賢二 国立極地研究所, 気水圏研究グループ, 助教 (90431478)
村松 康行 学習院大学, 理学部, 教授 (70166304)
小田 啓邦 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (90356725)
宮原 ひろ子 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (00532681)
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Research Abstract |
ドームふじアイスコアの^〈10〉Beを分析することにより,過去30万年間の古宇宙線強度変動記録を,千年時間分解能で完成させた.これを,堆積物の残留磁化に基づいた古地磁気強度変動の長期記録や地磁気エクスカーションの記録と定量的に比較した結果,千年規模以上の古宇宙線強度変動のほとんどが,地球磁場によるシールド効果の変化で説明できることが明らかになった. 有孔虫殻の^〈10〉Be/^9Be比を分析する手法を,昨年度弘前大学に設置したグラファイトファーネス原子吸光光度計(HITACHI Z-2710)を駆使して開発した.またこれに基づいて,日本海海底堆積物より既に数十ミリグラム拾い出されていた有孔虫試料を対象に,実際の分析を行うことに成功した.さらに,研究分担者等により古地磁気強度変動記録が得られている赤道太平洋域西カロリナ海盆の柱状コア試料について,化学的に抽出された自生成分の^〈10〉Be/^9Be比を測定した.これらについては未だ研究の途上だが,現段階でも古地磁気強度変動記録と良く一致する^〈10〉Be/^9Be比のデータが得られている. 昨年度にドームふじアイスコアから検出されたアイスランドベイズンエクスカーションなど地磁気イベントの特徴について,海洋堆積物だけでなく,陸域の情報を加味してまとめた.また,年輪^〈14〉Cの実分析を継続し,^〈14〉C標準曲線より太陽活動変動成分のみを分離する手法について研究を行った. 研究のこれまでの中間総括を行い,さらに今後の展開を議論するために,他の科研費課題と合同で,研究集会「宇宙線生成核種の連続記録と古宇宙線・古環境変動」を開催した.また,これまでに得られた成果を,国内のシンポジウム(第2回極域科学シンポジウム等)や国際会議(The 4th East Asia AMS Symposium等)で発表するとともに,科研費課題に関するホームページを開設した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度に多くの分析が終了したドームふじアイスコアの<10>^Be分析や堆積物の<10>^Be、9^Be比を分析する手法の開発は,順調に達成されている.しかし,東日本大震災の影響で,平成23年度の特に前半に加速器質量分析を行うことができなかったことで,堆積物の実分析に関わる研究や同様に実分析を伴う<14>^C関連の研究が予定より遅れている.また成果発表についても,学会発表は進んでいるが,雑誌論文の公表に遅れが見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大筋に変更の必要はない.従って残る最終年度としての平成24年度は,予定通りまとめにむけた研究を推進するつもりである。一方で,実分析で遅れの見られる研究領域については,本年度も分析を継続すると共に,なるべく早くまとめの作業に取りかかることができるよう努力する.また,結果がまとまり次第,成果の公表にも努める.
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