2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22244066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 勝男 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60125614)
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Keywords | 地球物質科学 / コンドリュール / 結晶成長 / 惑星科学 / その場観察 / 宇宙塵 |
Research Abstract |
昨年度までは,コンドリュールを構成する主要な鉱物のひとつであるフォルステライト(Mg_2SiO_4)のガスジェット浮遊融液結晶化実験を実施した。その結果,フォルステライト融液は数100K~1000Kもの大過冷却状態から,わずか0.1秒程度で急速凝固することが明らかとなった。このような急速凝固の場合,平衡状態で時間をかけて成長したフォルステライトと比べ,結晶欠陥,不純物の取り込み,キャリア濃度などが異なる可能性がある。これを確認するため,前回プログラムで合成した急冷凝固フォルステライトに対し,カソードルミネッセンス(CL)による分析を行なった。3つのサンプルについてCL分析を行なったところ,そのうちのひとつから未同定ピークを検出した。これらは,過去の研究で知られていた不純物Mh^<2+>などに依るものとは異なる。この未同定ピークは,結晶構造内の微細欠陥の存在を示唆している可能性がある。 天然の限石に含まれるコンドリュールは多成分系であり,凝固過程において元素分配は避けられない。本研究では,Mg-Feオリビン(フォルステライトMg_2SiO_4とファヤライトFe_2SiO_4の固溶体)のフェーズフィールド計算コードを開発し,界面不安定によるオリビンバーの形成と冷却速度の関係について調べた。その結果,一方向凝固の空間二次元問題の計算を行ない,界面不安定によりリムからオリビンバーが生じる様子を再現した。 このよう、理論と実験から多成分系からのコンドリュール組織が再現できるようになった。これは世界で最初の快挙であり、天然のコンドリュールでも、従来の考えに反して、短時間に高速で結晶化したことを強く示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カソードルミネッセンス法を導入することで、コンドリュール成長速度と微細欠陥との関連があきらかになる可能性を強く示唆している。この関連が全く新しい概念である。
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Strategy for Future Research Activity |
はやぶさ計画などでサンプルリターンした試料との対比をおこない、新たな観点から、コンドリュールや宇宙塵の成因を明らかにしたい。
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Research Products
(44 results)