2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマバイオプロセスにおけるラジカル表面相互作用の系統的解明
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22244075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜口 智志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60301826)
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Keywords | プラズマ / 表面・界面物性 / 蛋白質 / 細胞外マトリックス / PMMA / シミュレーション / イオンビーム / 大気圧プラズマ |
Research Abstract |
本研究では、プラズマによるバイオマテリアルプロセスや生体組織プロセスの表面反応過程やその物理化学的機構を理解するため、イオンビームシステム、プラズマビームシステム、数値シミュレーション等を用いて、有機高分子膜表面と各種イオン・ラジカル入射の相互作用を解析する。本年度は、有機高分子膜PMMA(ポリメチルメタクリレート)を水素プラズマ処理することにより、表面組成を変化され、エッチング耐性が向上することを実験的に確認した。これは、昨年度の分子動力学(MD)シミュレーション結果を確認するものであり、また、過去に知られてるプラズマ実験の結果とも定性的に合致する。また、分子動力学(MD)シミュレーションにおいては、昨年までの研究で得られるイールドデータが、実験的に知られている値よりきわめて大きなる問題があったが、これを解決するために、イオン入射中の表面状態の熱的緩和を効率的に取り入れるアルゴリズムを導入した。これにより、シミュレーションで得られるイールド値が、実験値にかなり近くなることが確認された。今後は、この手法を利用し、また、モンテカルロ法をさらに導入することにより、より精密にイールドを予想するMDシミュレーションシステムを導入する。また、本年度は、人工骨材料と知られる多孔質ハイドロキシアパタイト(HA)の酸素・ヘリウムプラズマ処理の効果と、その表面状態の研究を行った。家兎やラットにプラズマ処理した人工骨を移植する実験により、プラズマ処理が、多孔質人工骨の内部まで、の骨伝導能、骨誘導能が著しく増大することを確認し、現在、その生物学的効果とHAのプラズマ処理による表面組成の変化の関係を詳細に調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画課題については、おおむね順調に進展しているが、それに加えて、本学医学部との共同研究が進展して、人工骨材料である多孔質HAのプラズマ改質に関するプラズマ表面相互作用の解析に研究が進むことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の計画に沿って進めるが、特に、現在行っているMDシミュレーションの精度を高めること、および、HAとプラズマ表面相互作用の効果をより明確に解明することに注意する。
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Research Products
(79 results)