2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22245007
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平尾 俊一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90116088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨夜 徹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20397615)
|
Keywords | πボウル / スマネン / π共役 / ハプトトロピック転位 / ボウル反転 / ペンタハプト |
Research Abstract |
フラーレンの部分構造で示されるボウル型分子(πボウル)は、,非平面π共役系におけるフラーレンやカーボンナノチューブに次ぐ第3の鍵物質群として考えられている。本研究はπボウル「スマネン」を基軸とし、その有機合成・材料的ポテンシャルを顕在化させ日本発のカーボンナノサイエンス・テクノロジーとして世界に発信することを目指している。 スマネン合成の迅速化とグラムスケール合成は本研究の根本を支える重要な課題である。そこで、鍵中間体であるベンゾトリスノルボルナジエンの合成をノルボルナジエンから銅触媒によるワンポット反応を検討した。その結果、銅触媒の配位子としてフェナントロリンが有効であることが明らかとなった。 π共役系の拡張したπボウルは電子材料における新しい化合物群として期待される。スマネンのベンジル位を酸化してカルボニル基を導入しアニリン誘導体と縮合することで、新規なπ共役系拡張πボウルを合成した。例えば、スマネントリオンにクトルイジンを縮合させたトリイミンでは、π共役系の拡張が紫外可視吸収スペクトルから明らかになった。また、スマネンのアリール位同士でカップリングした2量体を合成し、その発光特性を明らかにした。 曲がったπ共役系を有するπボウルと遷移金属触媒との錯形成は学術的に興味がもたれるだけでなく、新しい錯体触媒創製の観点からも重要である。スマネンのベンジルアニオンがシクロペンタジエニル様アニオンであることに着眼し、ペンタハプト型のスマネン錯体の合成に取り組んだ。その結果、スマネンのヘキサハプトFe(II)concave配位錯体を塩基で処理することで、ベンジル位水素が引き抜かれ、その後ハプトトロピック転位とボウル反転が生じ、対応するペンタハプト型convex錯体の生成が示唆された。
|
Research Products
(14 results)